国土政策研究所
国土政策研究所 講演会について
最近の講演会
年度 | 講演タイトル | 講師 |
2020 | 「温故知新で知彼知己者百戰不殆を実践し転禍為福を実現」 | 名古屋大学減災連携研究センターセンター長 ■福和 伸夫 |
2020 | 「フィールドロボット技術と、その災害対応やインフラ点検への適用」 | 芝浦工業大学 SIT総合研究所 客員教授 ■油田 信一 |
2019 | 「衛星観測降雨技術の最新の動向について」 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門地球観測センター 研究領域上席 ■沖 理子 |
2019 | 「土木史」 | 日本大学工学部土木工学科 准教授 ■知野 泰明 |
2018 | 「国土マネジメントに関する政策立案の視点 」 | 中央大学研究開発機構 教授 ■福岡 捷二 |
2018 | 「IT社会がつくる未来」 | 日本科学技術ジャーナリスト会議 副会長 ■室山 哲也 |
2018 | 「“大避難”の時代と岐路に立つ防災報道〜取材の現場から」 | NHK社会部 記者 ■島川 英介 |
国土政策研究所について
国土政策研究所設置の目的
国土政策研究所は、社会資本整備に関する総合的な調査研究の一層の推進とその体系化を図り、さらには国内外の社会動向を踏まえた国土政策や社会資本整備のあり方等について調査研究並びに政策提言を実施することを目的に平成21年6月1日に設置しました。
国土政策研究所の目指す姿
(1) 短期・中期的な姿
政策研究員が自ら抱いている問題意識に基づいて国土政策に関する自由な調査研究の実施、国土交通省・学識経験者・JICE等による国土、社会資本の将来を見通す研究会の開催、JICE研究顧問をはじめとする学識者や各界の有識者による国土、社会資本の長期展望に関する講演会等を実施します。また、JICEが外部の研究者に対して実施している「研究開発助成」と連携して、共同研究を行います。
(2) 長期的な姿
将来的には、大学等の若手研究者を専任研究員や客員研究員として2〜3年程度の期間で受け入れ、国土政策に関して腰を据えた学術研究を行うことを目指します。また、専任研究員・客員研究員とJICE職員が共同研究を行い、国土政策に関する政策提言を積極的に行い、それらを研究報として発刊するなど、政策提言機関としての機能を大いに発揮することを目指します。
国土政策研究所の当面の活動方針
まずは、図のような体制で研究所の活動を開始し、国土や社会資本に関する本質的な議論から研究を始めます。現在の政策がありきではなく、そもそも河川や道路等の社会資本は国民にとってどういうサービスを提供すべきかというような、国土の利用や社会資本に関する根本的なところまでに一度立ち返って議論するところから始めていきます。
また、JICE研究顧問をはじめとする学識者、各界の有識者より、研究所の研究テーマの方向性についてご示唆をいただくためのヒアリングや講演会等を開催します。
研究時報
国土政策研究所で行った研究の成果を発信していきます。
社会資本に関するインターネット調査(平成29年)
研究の背景
現在の社会資本整備・管理の状況等を勘案した的確な論点整理や議論が行うため、多様化・変化している国民の価値観・ニーズを把握するべくインターネット調査を実施しました。
幹線道路が促す民間投資(物流等)の実態について(平成25年10月29日)
研究の背景
近年、圏央道沿線への物流施設の立地が急速に進むなど、幹線道路等の基幹的インフラの整備が、いつの時代も変わらず沿線地域への民間投資を誘発し、新たな雇用を創 出している実態が明らかとなりました。
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平成25年利根川水系の渇水状況と八ッ場ダムの効果について(平成25年8月7日)
研究の背景
利根川上流ダム周辺では梅雨明けが早く降水量が少なかったため、関東6都県で10%の取水制限が行われています。もし八ッ場ダムが完成していれば取水制限は回避できたと考えられます。
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特に我が国においては、有史以来、稲作中心の国土造りを進めてくる中で、沖積平野の田畑において耕作を行うとともに、周辺に家屋を造り、町を造ってきた。このため沖積平野という氾濫源で生活することなり、大雨が降れば洪水となることが避けられない中、少しでも被害が少なくなるよう工夫するとともに、二千年の歴史の中で築き上げられた水秩序の中で河川水を可能な限り利用してきた。
このような我が国の地理的、気象的、歴史的特徴により、継続的に「河川への働きかけ」を続けないと、安全で安心できる人々の暮らしを確保することはできない。
したがって、我が国における「水」や「河川」について述べるにあたり前提となる、我が国における「国土の特性」や「人々と水との関わり」について研究する。
研究のアプローチ
1.我が国の気象的特徴、地形的特徴
- アジアモンスーン:梅雨、台風
- 島国、脊梁山脈、急流河川、沖積平野、氾濫原
2.人々の生活と水との関わり
- 農耕民族の日本人
- 水田による稲作を中心に国土造りを進めてきた日本
- 欧米ではほとんど見られない、沖積平野(氾濫原)における都市づくり
- 日本における人と水の歴史
◯明治以前(近代土木技術が導入される前):ため池、堤防(輪中堤、霞堤等々)、河川の締切・付け替え等々
◯明治以降(近代土木技術導入後):ダム、遊水地、大規模連続堤防、捷水路、放水路
◯最近の取り組み:河川と流域の分担、ソフトとハードの効果的で効率的な役割分担
3.総合的、統合的な観点からの洪水・水資源管理

しかし、社会経済情勢がきわめて厳しくなり、道路を取り巻く状況が大きく変化し、真に必要な道路等が厳しく問われている現在、地域の実情に応じこれまでのストックを有効に活用した道路政策を行うことが求められている。利用者の視点に立ち、基本的な社会資本である道路のあり方について改めて考える。
研究のアプローチ
1.道路のもつべき機能とは?
- これまで定義や構造が不明確、不十分な機能など改めて道路がもつべき機能について考える
⇒ネットワークの体系、環境を形成する機能、防災空間としての機能、沿道を形成する機能 等
2.ネットワークはどうあるべきか?
- ネットワークを考える上で把握すべきこと
- ネットワークの階層性
- サービスレベル
- 新たな交通手段への対応(電動自転車、シニアカー、セグウェイ等)
3.道路空間がより有効に活用されるようになるためには何をすべきか?
- 都市内の道路空間の再構築
- 沿道と一体的な空間活用、空間育成、そのための手法
- 緊急時に活用できるための空間
- 道路空間の情報化

しかし、近年、例えば中山間地等では、高齢化や人口流出等により森林や農地を十分に管理できない状況が発生しており、また、都市部でも中心市街地の空洞化の拡大や遠隔郊外住宅地の衰退が始まっている。
これまで所有者が主体となり維持・運営してきた地域・都市・住宅は、その担い手の不在化や力の衰えにより、全体として機能が低下し、さらにその周辺へも悪影響を及ぼすことが懸念される。適切な維持・運営を行うためには、所有者だけではなく、様々な主体の活用により適切に行っていく必要がある。
そのため、例えば、地域づくり・まちづくり・すまいづくりの担い手に関する新たな方策の検討や、「所有と利用の分離」という観点から土地や建物等の資産の管理・保全を行う手法を検討し、良好な国土保全に活用してゆくことが必要である。
研究のアプローチ
1.地域づくり・まちづくり・すまいづくりの担い手
- 国を含む公的主体の基本的役割
- 公的主体と民間主体、NPO等新たな主体の役割分担
- 主体間の連携・協働方策
2.所有と利用の関係性
- 土地所有の歴史的変遷
- 土地・建物所有者の利用に関する権利と義務
- 所有者以外による利用権の考え方
- 公共による利用権の制限・活用の意義

テーマの位置づけ
レベル1 | ○事業者、管理者 | インフラの整備・管理の目的・目標・戦略/整備・管理の主体 |
レベル2 | ○発注者責任 |
品質と価格のバランスがとれた良い調達とは?/ そのために良いシステムを構築するには?/ |
レベル3 | ○具体的制度・組織経営手法 |
事業スキーム/参加企業評価/入札契約システム/設計品質確保/ 工事品質確保/発注者支援/ 価格の評価/技術の開発と活用 等 |
研究のアプローチ
1.現在のシステムの課題は?
2.何のための建設システムか?
- (国家・国民のため)品質と価格のバランスがとれた調達にとって良いシステムとは?
〜品確法の問題意識〜
@技術的能力がない発注者を助ける制度が必要
A地方振興責任と発注者責任を別に考えることが必要
3.解になるようなシステムはないか?
- 諸外国の公共調達システムと比較してどうか?/違いの要因やその長所短所は?
4.解になるシステムを想定しての実現方策は?

テーマの位置づけ
レベル1 | ○国民生活の改善のためのインフラの整備・管理と科学技術開発の目的・目標・戦略 |
レベル2 |
○社会的技術に対するニーズと要素技術の開発動向/ 開発と普及の円滑化のためのマネジメント施策/技術振興策 |
レベル3 | ○具体的な技術開発テーマに関する開発と普及の進行管理、支援 |
研究のアプローチ
1.周辺状況の分析
- 社会経済と科学技術の動向
- 科学技術の開発・振興施策と国土の整備・管理のビジョン
2.これからの社会的技術の開発テーマ
3.これからの社会的技術の開発と普及のマネジメント
- これからの社会的技術の例:
・くらしをエコにするインフラ技術
・地球温暖化の適応策の充実技術
・ICT技術の国土管理・インフラへの活用
・インフラの整備・管理の効率向上 等

わが国では、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)の制定(平成11(1999)年)により、民間資金導入によるインフラ整備は大きく前進したが、道路・鉄道・河川等において十分に活用されているとは言いがたい状況にある。
また、厳しい財政事情により公共投資が減少しているが、インフラは安全で安心できる国民生活を支え、経済成長を促すうえで必要不可欠な基盤でもある。
このような中、公的な資金に代わってインフラ整備のために民間資金を活用することができれば、今後の課題解決に新たな展望をもたらすことが可能となる。
このため、民間資金を活用した道路・河川等のインフラ整備の課題を整理し、インフラ整備を推進するための方策を研究する。
一方、韓国では、平成6(1994)年に制度が創設されて以来、PPI(Private Participation in Infrastructure)という概念でとらえられている。PPIの対象となる施設は、15分野、46種の施設に適用されており、 道路・鉄道等も数多く実施されている(※) 。
韓国は、日本にとってインフラ整備のパートナーとなることも想定され、このため韓国の実情についても整理を実施する。
※ 第4回日韓定期PFI推進交流会議(平成21年10月19日開催)資料より(内閣府HP)
研究のアプローチ
- インフラ整備における民間資金導入の現状
- 海外における動き(韓国を中心として)
- 民間資金を活用したインフラ整備の方向