JICE 一般財団法人国土技術研究センター

国土を知る / 意外と知らない日本の国土

水害や土砂災害の危険

日本は、国土の7割(わり)が山地や丘陵地(きゅうりょうち)で、傾斜(けいしゃ)が急なきびしい地形が多くあります。このため、川の流れが速く、ひとたび大雨が降(ふ)ると、森林の土が吸収(きゅうしゅう)することができる水の量を一気にこえてしまい、川に流れ出します。わずかの時間のうちに水かさが増し、洪水(こうずい)などの災害が起こりやすくなります。

また、山の傾斜(けいしゃ)が急な場所や切り立った山がせまるような場所では、台風や集中(しゅうちゅう)豪雨(ごうう)などによって、水と土砂(どしゃ)が猛(もう)スピードで一緒に流れ出る「土石流(どせきりゅう)」、山ごと地面がすべり落ちる「地すべり」、「がけ崩(くず)れ」などの土砂(どしゃ)災害(さいがい)が発生する危険(きけん)があります。

水害や土砂(どしゃ)災害について調べてみましょう。

梅雨(つゆ)と秋雨(あきさめ) 冷(つめ)たい空気と暖(あたた)かい空気の入れ替わりの時期に長雨が降(ふ)る

日本は、春夏秋冬の四季がありますが、春から夏への変わり目には梅雨(つゆ)、夏から秋への変わり目には秋雨(あきさめ)という雨が多い時期があります。梅雨(つゆ)も秋雨(あきさめ)もかんたんに言うと、日本の北側の冷(つめ)たい高気圧(こうきあつ)と南側の暖(あたた)かい高気圧(こうきあつ)の押(お)し合いです。

梅雨の時期の日本

春から夏への変わり目には、南側の暖(あたた)かい高気圧(こうきあつ)が北側の冷(つめ)たい高気圧(こうきあつ)を北に押(お)し上げようとします。暖かい空気と冷たい空気がふれあうところ雲ができ雨を降(ふ)らせます。これが梅雨(ばいう)前線(ぜんせん)です。2つの高気圧(こうきあつ)の力が同じだと、梅雨(ばいう)前線(ぜんせん)が北にも南にも動かなくなるので、日本の上空にとどまって長く雨を降(ふ)らせます。

秋雨と台風の時期の日本

夏から秋への変わり目は、梅雨(つゆ)の逆です。夏が終わりの近づくと暖(あたた)かい高気圧(こうきあつ)の力が弱くなり、北の冷(つめ)たい高気圧(こうきあつ)の力が強くなってきます。暖かい空気と冷たい空気がふれあうところに雲ができ雨を降(ふ)らせます。これが秋雨(あきさめ)前線(ぜんせん)です。

この時期は台風も来ます。台風が水分を多く含んだ湿(しめ)った空気を南から北に流すので、秋雨(あきさめ)前線(ぜんせん)で冷たい空気にふれて一気に冷やされ、さらに雲が発達し大雨が降(ふ)ります。

1時間に50ミリ以上の大雨が降(ふ)る回数が増えている

1時間に50ミリの雨とは、かさが役に立たなくなるような非常に強い大雨です。1時間に50ミリ以上の大雨が降(ふ)る回数が最近10年増えています。2012〜2021年(平成24〜令和3年)の10年間の平均回数は年約327回で統計期間の最初の10年間(1976〜1985 年)の平均年間発生回数(約226回)と比べて約1.4倍に増加しています。

1時間に50ミリ以上の大雨の回数

土砂(どしゃ)災害(さいがい)の平均年間発生件数は1500件にせまっている

2002〜2011年(平成14〜平成23年)の過去10年間の土砂(どしゃ)災害(さいがい)件数は1年間あたり平均1150件ですが、2012〜2021年(平成24〜令和3年)の最近10年間では1年間に平均1450件と約1.3倍に増加しています。

また、毎年がけ崩(くず)れの発生件数が多くなっています。
しかも土砂災害のうち、3分の2以上ががけ崩(くず)れです。

土砂災害発生件数

土砂災害発生件数

97%の市町村で水害・土砂(どしゃ)災害(さいがい)が発生している

2008〜2017年(平成20〜29年)の10年間に、約97%の市町村で1回以上の水害・土砂(どしゃ)災害が発生しています。10年間に10回以上も水害・土砂(どしゃ)災害が発生した市町村が約55%もあります。

全国の水害・土砂災害の発生状況(H20年〜H29年)

水害による被害(ひがい)額が過去最大になった

グラフの赤い線を見てみましょう。水害による被害(ひがい)金額を比較すると、1995年は約1622億円でしたが、2004年には約4360億円(物価(ぶっか)は年によって変わるので1995年の物価(ぶっか)で計算)となり、10年間で2.6倍以上になりました。
グラフの青い線は、浸水(しんすい)面積1ha当たりの被害(ひがい)金額です(専門用語(せんもんようご)で「水害密度(すいがいみつど)」と言います)。1995年の約2123万円に対し、2004年には約4494万円と、10年間で2倍以上と被害(ひがい)金額は増えています。

水害被害の状況

2019年度(令和元年度)の水害による被害(ひがい)額は、全国で約2兆2千億円となり、1年間の津波以外の被害(ひがい)額として過去最大となりました。

また、令和元年東日本台風による被害(ひがい)額は約1兆9千億円となり、一度の水害による被害(ひがい)額は、過去最大となりました。

水害被害の状況