国土を知る / 意外と知らない日本の国土
人口減少していく日本
日本の人口は約1億2600万人ですが、子どもの人口が減っていて、高齢者の人口が増えています。これから日本や世界の人口はどのようになっていくのでしょうか。調べてみましょう。
日本の人口は、明治時代から100年間で約3倍になった
日本の人口は、令和2年10月1日に行った国勢調査の結果によると、約1億2614万人です。いまから約400年前の江戸時代の初め(1600年ころ)は約1200万人でしたが、江戸時代のなかごろから明治時代になるまでは人口はずっと3000万人くらいだったと推定されています。
明治時代の人口推計によると、1873年(明治6年)の日本の人口は3340万人だったそうです。江戸時代が終わった明治維新(1868年)から100年後の1967年(昭和42年)には、日本の人口はついに1億人をこえました。日本の人口は100年間で約3倍になったのです。
国立社会保障・人口問題研究所が2017年(平成29年)12月に、「日本の将来推計人口」という報告書を発表しました。これは、2015(平成27)年10月に実施した国勢調査の集計結果をもとにして、日本の将来人口を予想したものです。
将来の人口を予想するためには、生まれる子どもの数(「出生数」といいます)や年齢別の死んでしまう人口(「死亡数」といいます)などを予想します。ところが、出生数や死亡数が多くなるのか、少なくなるのか予想することはとても難しいのです。そこで、出生数や死亡数が一番大きい予想と一番小さい予想をして、日本の将来人口を予想します。
今から約30年後の2055年ころには、日本の人口は1億人を下回るくらいにまで減っていると予想されています。
日本では子どもの数が減って、高齢者が増えている
日本の人口をもう少しくわしく見てみましょう。0歳〜14歳までの子どもの人口と65歳以上の高齢者の人口を比べると、子どもの人口が減り続け、高齢者の人口が増え続けているのがわかります。1997年から子どもの人口よりも高齢者の人口の方が多くなりました。
全人口のなかの0〜14歳の人口、15〜64歳の人口、65歳以上の人口の割合を見ても、65歳以上の高齢者の人口が増えていることがよくわかります。
子どもの数が減って、高齢者がどんどん増えると、日本はどうなるでしょうか。子どもの数が減るということは、将来、大人になって働く人口が減るということです。少ない大人の力で多くの高齢者の生活を支えなければなりません。高齢者の人たちが病院にかかる費用やケアプラザなどの福祉施設を作ったりするお金も必要になります。
そうしたお金をだれが払えばよいでしょうか。高齢者が自分で払うためには、たくさん貯金を持っていなければなりません。国や市町村が払うためには、働いている大人から税金を集めないとお金が足りません。とてもむずかしい問題です。
「人口ピラミッド」というグラフがあります。年齢別の男・女の数や人口が何人いるかを示す資料で、年齢の低い順に下から横棒グラフを重ねていくと、二等辺三角形のような形になります。この形が、エジプトのピラミッドに似ているので「人口ピラミッド」と呼びます。
日本の「人口ピラミッド」を見てみましょう。
●1970年(昭和45年)の人口ピラミッド
この人口ピラミッドでは、グラフの横棒の長さが、それぞれの年齢の人口の多さをあらわしていて、横棒が長いとその年齢の人口が多いという意味です。1970年は、2020年に50歳になる人が生まれた年です。つまり、今の小学生や中学生のお父さん、お母さんよりも少し年上の人たちが生まれたころです。グラフの色が青色からオレンジ色、茶色となって年齢があがるにつれて、横棒が短くなっていて、ピラミッドのような三角形になっています。青色であらわす若い大人の人口が多く、オレンジ色、茶色であらわす高齢者の人口が少ないという意味です。
15歳よりも小さい子どもをあらわす緑色の横棒の長さが、20歳くらいの青色の横棒の長さよりも短いところもありますが、グラフの全体の形は、三角形に近い形になっています。
●2000年(平成12年)の人口ピラミッド
2000年は、2020年20歳になる人が生まれた年です。1970年の人口ピラミッドと比べると、緑色であらわす15歳よりも小さい子どもの人口が少なくなっています。反対に、オレンジ色、茶色であらわす高齢者の人口が多くなっています。1970年の人口ピラミッドで、青色でもっとも長い横棒であらわしてた20歳くらいの人たちが2000年に50歳くらいになったので、そのあたりで青色の横棒が長くなっていますが、それと同じくらい、オレンジ色であらわす高齢者をあらわす横棒が長く出ています。
また、1970年くらいに生まれた子どもが、2020年に30歳くらいになったので、そのあたりで青色の横棒が、上下の年齢よりも長くなっています。形は、もはや三角形ではなくなり、お寺にある「釣鐘」のような形になってしまいました。
●2020年の人口ピラミッド
2020年に小学生や中学生の子どもはまだ生まれていませんが、だいたい生まれる5年前から10年前くらいです。1970年や2000年の人口ピラミッドと比べると、緑色であらわしている15歳よりも小さい子どもの人口がますます減っていて、反対に、オレンジ色、茶色であらわす高齢者の人口がますます増えています。
1970年の人口ピラミッドで、青色でもっとも長い横棒であらわしてた20歳くらいの人たちが、2000年に50歳くらいなり、そして、この2020年の人口ピラミッドでは70歳くらいになりました。オレンジ色の横棒が長くなっているところがそれです。
50歳くらいで青色の横棒が長くなっているのは、前の2000年の人口ピラミッドでは30歳くらいだった人たちです。
●2050年の人口ピラミッドの予想
いまから30年後、2020年に小学生や中学生の子どもが、だいたい30なっているときの予想です。75歳くらいの茶色の横棒がもっとも長くなっていて、高齢者の人口がさらに増えています。反対に、緑色であらわしている15歳よりも小さい子どもの人口がますます減っています。青色の大人の人口も、若い年齢の人ほど減っています。
人口ピラミッドの形が「つぼ」や「花びん」のような形になると、予想されています。
世界ではアジアやアフリカの国々の人口が増えていく
世界の総人口は約78億7500万人と言われています。正確な統計がない国もあるので、本当はもっと多いのではないかとも言われています。
日本の人口は2021年では世界で第11位ですが、これから日本の人口は減っていくのに対してアジアやアフリカの国々の人口が増えていきます。現在は中国が世界で1番人口の多い国ですが、インドが中国を抜いて第1位になると予想されています。
日本は世界のなかでも高齢化が速く進んでいる
0〜14歳の人口、15〜64歳の人口、65歳以上の人口の割合を世界の国々と比べてみましょう。日本は世界のなかでも0〜14歳の子どもの割合が少なく、65歳以上の高齢者の割合が高い国です。
全人口に占める65歳以上人口の割合のことを「高齢化率」と言います。世界の国々と比べてみると日本は28.8%と世界でも高い高齢化率の国で、「超高齢社会」と言われています。
・「高齢化社会」とは・・・高齢化率が7〜14%のことを言います。
・「高齢社会」とは・・・・高齢化率が14〜21%のことを言います。
・「超高齢社会」とは・・・高齢化率が21%以上のことを言います。
高齢化率が25%ということは、人口の4人に1人が65歳以上ということです。日本は、それに近い状態になっているということです。
日本は世界でも例のない速さで高齢化率が上がっています。
内閣府の「令和3年度版高齢社会白書」によると、高齢化率が7%から14%になるまでにかかった年数(「倍化年数」と言います)は、日本では、1970年から1994年まで、24年かかりました。それに対し、フランスでは高齢化率が7%から14%になるまで115年、スウェーデンが85年、アメリカが72年などとなっています。また、アジアでは、韓国が18年、シンガポールが20年、中国が23年など、日本と同じような速さで高齢化が進むと予想されています。
また、将来の高齢化率の予想ですが、日本は40年後の2060年には高齢化率が40%近くになると予想されています。