JICE 一般財団法人国土技術研究センター

JICEレポート

JICE REPORT 第47号

表紙

▼欧米と比較して日本の旅行速度は遅い
 日本の都市間を自動車で移動する旅行速度は、欧米諸国と比較して遅い。代表的な拠点間の閑散時(渋滞をしていない時=午前2時)の旅行速度を比較すると、意識すべきことは2つある。1つは、日本の閑散時の旅行速度の中央値は、約37km/hであり、アメリカ:約65km/h、ドイツ:約55km/hの半分程度に過ぎないことである。もう1つは、渋滞が解消されても、閑散時の旅行速度がたったの約37km/hで良いのかという点である。
 従って、今後の対策も2つの視点となる。従来から進めている@「渋滞時の速度低下の解消」に加え、A信号や右折待ちといった「閑散時の速度低下の解消」についても、あわせて検討を進めることが必要となる。

▼サービスレベルに着目した道路整備へのモードチェンジ
 これまでの日本の道路整備は、渋滞を解消するための対策に注力されてきたが、今後は、渋滞対策に加え、閑散時旅行速度を向上させる対策を確立し、この両輪の下で「サービスレベル(利用者が如何にサービスを享受できるか)」を向上させるための道路整備へとモードチェンジが求められる。

▼サービスレベルに着目した対策の例
 サービスレベルを向上させる対策の一つとして、赤信号により時間ロスが生じる信号交差点を減らすことがあげられる。
 表紙の島根県大田市にある大田朝山インターチェンジは、通常の交差点であれば、右折で高速道路に入る際に信号により停止する必要が生じるが、ラウンドアバウト ※ とすることで停止することなく高速道路へ入ることができる対策例である。(※交通量の少ない場合などラウンドアバウトが有効)

もくじ

ページ番号 内容
001

JICE REPORT 47号について

002

研究報告

「粘り強い河川堤防」の技術開発 〜自立型の設計法について〜

●河川政策グループ 研究員 石川 直樹

●河川政策グループ 副総括(首席研究員)佐古 俊介

●河川政策グループ 主任研究員 味方 圭哉

●河川政策グループ 研究員 竹下 和輝

006

研究報告

水防災分野の国際標準形成に向けた取組

●河川政策グループ 主任研究員 岡部 真人

●河川政策グループ 主任研究員 邱 中睿

●河川政策グループ 首席研究員 田村 善昭

010

研究報告

混雑時と閑散時の旅行速度向上について

●道路政策グループ 主席研究員 内田 達夫

●道路政策グループ 元総括(元研究主幹) 池田 裕二

●道路政策グループ 副総括(首席研究員) 乙守 和人

014

研究報告

新技術活用促進に向けた取組み 〜多様で新たなニーズも踏まえた道路舗装技術〜

●道路政策グループ 上席主任研究員  児玉 総一郎

●道路政策グループ 主任研究員 秋山 聡

●道路政策グループ 研究員  山井 優

●道路政策グループ 研究員  白尾 仁知

018

研究報告

エリアマネジメントによる公共空間の利活用と周辺のまちづくりへの波及

●都市・住宅・地域政策グループ 首席研究員 佐々木 正

●都市・住宅・地域政策グループ 元総括(元研究主幹)  池田 裕二

●道路政策グループ 研究員  多田 ~

022

研究報告

社会インフラ整備・維持管理に資するスタートアップの技術開発と今後の展望

●技術・調達政策グループ 上席主任研究員 高橋 千明

●技術・調達政策グループ 研究員   亀山 武士

●技術・調達政策グループ 技術員   北村 玲子 

028

研究報告

社会インフラの維持管理における将来の課題と対応の方向性

●技術・調達政策グループ 研究員   亀山 武士

●技術・調達政策グループ 副総括(研究主幹)  小宮 朋弓

●技術・調達政策グループ 首席研究員   三屋 竜一

●技術・調達政策グループ 上席主任研究員 三輪 哲也

●技術・調達政策グループ 研究員 三浦 拓也 

034

国土政策研究所 講演会

地域交通のリ・デザインに向けての課題

●東京大学大学院新領域創成科学研究科 特任教授 / 中村 文彦 氏

054

前号の紹介