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・鋼製起伏堰(ゴム袋体支持式)設計指針(一次案 増補版) ・断面二次元設計プログラム(増補版)

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鋼製起伏堰(ゴム袋体支持式)設計指針(一次案 増補版)の概要

 鋼製起伏堰(ゴム袋体支持式)(以下「SR堰」という)は、鋼製の扉体を有し、ゴム引布製袋体の膨張・収縮により扉体を起伏するゲート形式で、1径間を複数の単位ゲートに分割し、隣接する単位ゲートを中間水密ゴムで接続する型式が河川では一般に用いられています。そもそもSR堰は、アメリカ合衆国において開発された技術で、平成12年12月に民間開発建設技術の技術審査・証明事業認定規程に基づく土木系材料技術・技術審査証明において認定された新しい形式の起伏堰です。国内では小規模な農業用水路等に設置されたものがほとんどでしたが、最近、大河川に設置された比較的規模の大きなSR堰も見受けられるようになってきており、河川に関する実績は平成19年3月末で約50件です。

 このような状況下において、SR堰の計画・設計に当たっては、SR堰の特徴と我が国の河川特性及びSR堰に要求される機能を踏まえた適用性の検討が不可欠ですが、SR堰の特徴については不明な点も少なくありません。このため、SR堰の特徴を把握するとともに、その特性を踏まえた標準的な断面二次元設計手法を確立することを目的として、雄物川の大久保堰や六角川水系牛津川の大井手堰での現地観測試験及び水理模型実験等を基に、

  1. 堰高変化特性及び袋体内圧変化
  2. 振動特性
  3. 排砂性能
  4. 大開度越流水深時の扉体の状況・変位など

について検討し、SR堰の構造に起因する特徴を明らかにしました。また、これらの特性を踏まえた標準的な断面二次元設計手法を構築し、平成18年6月より当ホームページで公開してまいりました。

 設計指針(一次案)では、SR堰の特徴として、起伏装置となる袋体が柔構造であるため、上下流水位や温度が変化すると袋体が変形し、堰高も変化すること、また、SR堰は複数の単位ゲートで構成されることから、扉体背面に流木等の噛み込みが生じたとしても河積を確保しやすいという利点を有していること、さらに、ゴム引布製起伏堰と比べては、倒伏過程でVノッチ現象が発生しないため、中間開戸操作が可能であり、扉体背面に給気すれば越流振動が発生しにくいという利点を有していることなどを明らかにしてきました。

 その後、SR堰の特性を踏まえた連携操作等の検討を通じて、

  1. 袋体内圧による堰高変化特性
  2. 扉体断面形状による堰高変化特性
  3. 堰高変化特性と下流水位上昇量の関係

等に関する新たな知見を得られました。

 本設計指針(一次案 増補版)は、上述したような新たな知見を付加し、SR堰の特徴と河川に適用するSR堰の標準的な設計の考え方を取りまとめたものです本設計指針(一次案 増補版)を活用することによって、SR堰の検討・設計に役立てていただければ幸いです。

鋼製起伏堰設計指針(一次案 増補版)増補改訂を行なった主な点

  1. 扉体の断面形状や袋体内圧の違いによる堰高変化特性と堰に要求される水位制御等の機能を勘案し、適切な扉体及び袋体の諸元を検討することが重要であることを明記。
  2. 袋体内圧の設定によって水位変化に伴う堰高変化が変化するので、堰に要求される機能を満足するように袋体内圧を適正に設定することが重要であることを明記。
  3. 給排気管の配管方式について、操作室と各袋体との間で生じる圧力損失が同等になるように、給排気管の配置・延長及び口径の選定に留意して設計する必要があることを明記。

 なお、この指針は、現時点で得られた知見を基として、SR 堰の特性及び他形式の起伏堰との相違を認識し、SR堰の適正な活用を図り、SR堰の諸特性を踏まえた合理的な設計を行うために必要な最低限の技術的な事項を明らかにすることを目的として策定したものです。

 従って、本指針において記述した事項以上の技術的検討を妨げるものではありません。また、本指針は、今後のSR 堰の実績が増加し、SR 堰に関する技術的な知見が蓄積された場合には、改訂が行われるべき性格のものです。

鋼製起伏堰設計指針(一次案 増補版)増補改訂を行なった主な点(266KB)

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