JICEレポート
JICE REPORT 第46号
表紙
▼防災伝承に資する地域の活動
表紙は、新潟県関川村で毎年8月に開催される「大した
もん蛇まつり」のメインイベントである大蛇パレードの
写真である。
大蛇パレードで牽かれる大蛇は、昭和42年8月28日に
同地域で起こり、多くの犠牲者を出した羽越水害の惨事
を後世に残す思いを込め、羽越水害の発生日にちなんで
全長82.8mとしている。また、この祭りは地域の防災教
育にもテーマとして取り上げられており、そういった取
り組みの結果により、村民の4人に3人は羽越水害の発生
日を知っているなど、災害の自分事化につながる防災伝
承に役立っている。
▼連動した国の動向
内閣府と国土交通省では、こういった地域の取り組み
をインフラ施策の一部と認識し、ハード整備を補完する
防災伝承の取り組みを「NIPPON防災資産」として認定
する制度を令和6年5月に創設した。第1回の認定では、
大したもん蛇まつりを含む計22の地域の取り組み等が認
定されている(図1、図2)。
防災資産に関するJICEの取り組みは、本レポートの研
究報告をご覧いただきたい。
▼インフラ観を転換し、未来につなぐ
堤防などのハード施設だけをインフラと捉えるのでは
なく、「大したもん蛇まつり」のような地域の防災伝承
のための活動も、地域のインフラだと捉えるようなイン
フラ観の転換が必要である。
防災伝承と治水施設整備が両輪となることで、想定外
の水害に対する地域のレジリエンス力を高めることが可
能となるなど、さらなる効果が期待できる。
インフラ観を転換し、未来につなげていく政策を進め
ていく必要がある。
もくじ
ページ番号 | 内容 |
- | |
01 |
年頭所感 ●一般財団法人国土技術研究センター 理事長 徳山 日出男 |
04 |
技術研究発表会 特別講演 ●政策研究大学院大学 特別教授 |
16 |
国土政策研究所 講演会 三井住友海上火災保険株式会社 顧問 / 藤井 健 氏 |
36 |
研究報告 災害を自分事化し、命を守る 〜「NIPPON 防災資産」の価値の定着を目指して〜 ●河川政策グループ 副総括(首席研究員) 田 昇一 |
40 |
研究報告 河川砂防技術基準のR6 年の改定について 〜情報通信技術の進展を背景として〜 ●河川政策グループ 研究員 奥田 醇 ●河川政策グループ 主席研究員 島村 晃司 ●河川政策グループ 首席研究員 田村 善昭 |
44 |
研究報告 社会課題から見た道路交通改善のアプローチ 〜道路計画論の再構築にあたって〜 ●道路政策グループ 副総括 (首席研究員) 野平 勝 ●道路政策グループ 副総括 (首席研究員) 乙守 和人 ●道路政策グループ 総括(研究主幹) 池田 裕二 |
48 |
研究報告 ICT・AI を活用した道路巡視の効率化・高度化に向けた取組 ●道路政策グループ 研究員 白尾 仁知 ●道路政策グループ 研究員 田中 志和 ●道路政策グループ 上席主任研究員 藤村 万里子 ●道路政策グループ 上席主任研究員 児玉 総一郎 |
52 |
研究報告 地域建設業等の維持に向けた環境整備等への課題と展望〜改正品確法に係わる災害対応力等の強化について〜 ●技術・調達政策グループ上席・主任研究員 福田 健 ●技術・調達政策グループ 総括(研究主幹) 早川 潤 ●技術・調達政策グループ 副総括(首席研究員) 佐藤 重孝 ●技術・調達政策グループ 主任研究員 下嶋 正憲 ●技術・調達政策グループ 研究員 野田 祥 |
56 |
研究報告 ●技術・調達政策グループ 上席主任研究員 高橋 千明 ●技術・調達政策グループ 元主席研究員 浪岡 真則 ●技術・調達政策グループ 主席研究員 片山 祐介 ●技術・調達政策グループ 研究員 堀越 千史 ●技術・調達政策グループ 研究員 野田 祥 |
60 |
事業紹介・事業報告 ●情報・企画部 研究員 白井 克哉 |
62 |
事業紹介・事業報告 ●情報・企画部 技術参事役 田邊 輝行 |
64 |
事業紹介・事業報告 ●技術・調達政策グループ 主任研究員 鈴木 圭一 ●技術・調達政策グループ 上席主任研究員 高橋 千明 ●技術・調達政策グループ 首席研究員 大場 敦史 |
70 |
国際交流・海外調査報告 ●情報・企画部 研究員 白井 克哉 |
76 |