受賞技術概要
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第5回国土技術開発賞
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- 第5回国土技術開発賞
最優秀賞(国土交通大臣表彰)
F−NAVIシールド工法の開発・実用化 (第5回国土技術開発賞 最優秀賞)
応募技術名称 | F−NAVIシールド工法の開発・実用化 |
副題 | シールドトンネルの掘進・覆工同時施工による高速施工法 |
応募者名 | 清水建設(株) |
技術開発者 | 清水建設(株) 後藤徹 杉元裕紀 (株)小松製作所 三谷典夫 |
共同開発者 | (株)小松製作所 |
技術の概要
1.技術開発の背景及び契機
近年、都市およびその周辺部での地下空間開発において、シールド工法の果たす役割はますます重要となってきている。最近の傾向では、発進・到達立坑用地の確保の困難やコスト縮減への取り組みなどから、施工スパンの長距離化が顕著であり、その対応策として、シールド機械の耐久性向上とともに、工期の短縮を図るため一層の高速施工が強く求められている。このため、掘進とセグメント組立の同時施工を実現し、長距離化に際して工期の短縮とコスト縮減が可能な工法として、F-NAVI(Front-NAVIgate)工法を開発した。
2.技術の内容
本工法は、シールド機カッターの付いた前胴部の首振り機構で方向修正する世界初のアイディアを活かして、掘削とセグメント組立の同時施工による高速施工方法を開発・実用化したものである。(図-1、写真-1,2)従来の施工実績では、掘進30分後にセグメント組立25分を行い合計約55分の施工サイクルを要していたが、本工法では両者を同時施工することにより約30分の施工サイクルに半減でき、最大月進量500m以上の高速施工を実現している。(図-2)
図−1 動作イメージ
写真−1 F−NAVIシールド機
写真−2 シールド機(久留米分岐線工事)
図−2 サイクルタイム比較
3.技術の効果
試験施工で方向制御効果を確認した後、平成10年から平成14年の間に
- 浦和大門シールド工事(φ3.24m,延長1304m、泥土圧式,鋼製(ST)セグメント)
- 久留米分岐線シールド工事(φ3.59m,延長1934m、泥土圧式,コンクリート製(RC)セグメント、写真-2)
- 利根川横断シールド工事(φ2.52m,延長988m,泥水式,鋼製(ST)セグメント)
の各工事で同工法を採用し,掘削とセグメント組立の同時施工を実施した。その結果,全ての工事で平均月進量400m以上を記録して大幅な工期短縮の成果をあげている。この月進量は、従来工法の2〜3倍にあたるものであり、工事費縮減可能な掘進とセグメント組立の同時施工による高速施工を実現した。(図-3)
図-3 コスト比較
4.技術の適用範囲等
- F-NAVIシールド工法は、シールドトンネル実績のほとんどを占める泥水式・土圧式に適用できる。
- シンプルな構造のため、大口径(φ10m以上)から中・小口径(φ2m以上)まで適用できる。
- 前胴部の首振り機構は曲線施工の適用性に優れ、曲線部での余掘りを減少できる。この首振り機構はR=30mの曲線に対応可能である。
- 推進ジャッキの自動盛り換え、首振り制御などの開発した個別システムは、一般のシールド工法にも幅広く適用できる。
5.技術の適用実績
久留米分岐線新設並びに関連工事のうちトンネル工事(シールド工事)
平成11年7月〜平成14年3月 他2件