JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第2回建設技術開発賞

奨励賞(JICE理事長表彰)

オーリス(AURIS) (第2回建設技術開発賞 奨励賞)

ミッション維持管理の向上に寄与する
応募技術名称オーリス(AURIS)
副題非破壊探査システム(Aoki Ultrasonic Reflection Integrity Sou
応募者名株式会社青木建設

技術の概要

1.開発の背景と目的

 震被害,地盤の不同沈下,側方流動等によって基礎構造物に亀裂などの被害が生じることがある。また,最近ではコンクリート構造物等の劣化が問題となっている。この場合,構造物内部の調査方法としてボーリング孔を利用したボアホールカメラあるいは掘り出し調査等が行われるが,周囲環境,工期,費用等の制約がある。このため簡便性などの理由から非破壊検査法が用いられるが,探査精度,適用範囲等の課題点がある。本件は,高周波数成分を用いた新しい非破壊探査システムの開発を行なったもので,コンクリート・鋼構造物,転石・岩盤等の広い適用範囲において内部亀裂あるいは形状寸法の探査を可能にした。

2.技術の内容

 本システムは本体,受振センサー及び打撃ハンマーから構成される(写真−1)。構造物表面に鋼製ハンマーで衝撃を与え,高感度センサーで受振し,システム本体の画面に反射波形を表示させ,その反射波から構造物の端部や微細な亀裂の位置を特定する。さらにハイパスフィルター機能によって任意の周波数範囲を選択し反射波波形を抽出することにより,おおよその亀裂幅を推定することも可能となる。

3.技術の効果

  • 構造物表面から内部を簡便に探知できる軽量コンパクトな機器(重量約6kg,サイズ360×260×116mm)である。
  • コンクリート・鋼構造物あるいは転石・岩盤に生じた内部亀裂(最小探査可能亀裂幅0.3mm)の位置,亀裂幅及び根入れ長さ・形状の探知が可能である。
  • フーチング,橋台などが介在する場合でもその上からの探査が可能である。
  • 深い位置の探査が可能である(実績:PHC杭 70m,鋼管160m)。

4.技術の適用範囲等

1)探査対象

コンクリート構造物:既製杭、場所打ち杭、地中連続壁、ダム堤体等
構造物他    :鋼管杭、鋼矢板、H形鋼、木杭(基礎杭)等
岩盤、転石
2)探査目的:構造物損傷度、健全度探査、支障物調査、構造物形状寸法調査

  転石根入れ長・岩盤内部亀裂探査等(図−3に転石探査例を示す)

3)適用実績 新東海橋基礎杭長さ調査 他99件