JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第2回建設技術開発賞

奨励賞(JICE理事長表彰)

土壌を用いた大気浄化システム(EAP) (第2回建設技術開発賞 奨励賞)

ミッション工事中または供用後の施設が発生する騒音、振動、水質汚濁などの周辺環境に与える外部不経済を軽減する
応募技術名称土壌を用いた大気浄化システム(EAP)
応募者名株式会社フジタ

技術の概要

1.開発の背景と目的

 都市部、特に幹線道路沿道における二酸化窒素に係る環境基準の達成状況は非常に厳しい状況にある。一方、土壌が大気汚染物質を浄化するという研究論文が1990年前後にいくつか発表されており、システム化への可能性が存在していた。

 このような都市域における大気汚染の現状および土壌が本来有する浄化機能を背景に、土壌を用いて道路沿道において大気汚染物質を直接浄化するシステムを構築し、沿道の大気環境改善に寄与することを、本技術開発の目的とした。

2.技術の内容

  本システムは、汚染空気を土壌に通気し土壌の有する吸着機能や微生物分解機能により浄化するものである。システムは、植栽部、土壌層、通気部、送風機・オゾン前処理設備・自動散水設備等からなる機械設備部で構成される。使用土壌は黒土を主体とし、一般造園材料を特殊混合したもので、植栽樹種も特に限定されない。土壌層は1層式と2層式の2形式がある。処理能力としては、1m2の土壌が1時間に処理できる風量は144m3である。

 除去性能に関しては、ほとんどの大気汚染物質に対して浄化能力を有しており、窒素酸化物(NO,NO2,NOx)、浮遊粒子状物質(SPM)、二酸化硫黄(SO2)、一酸化炭素(CO)、ベンゼン等80%以上の除去率がある。 浄化設備としての特徴は、浄化機能が微生物分解作用により常に自己再生されるため、浄化機能に永続性があると同時に処理にともなう廃棄物の発生が無い点である。

3.技術の効果

 道路沿道へ適用した場合、道路内の汚染空気を直接浄化するため道路からの発生量を削減する効果が期待でき、結果として沿道における大気汚染物質濃度の低減に寄与する。システム稼働中の大阪府吹田市の国道479号内緑地に設置された施設(250m2×2ヶ所、処理風量合計36000m3/h)の調査例では、施設周辺のNOx濃度が装置停止時に比べて運転時は明らかに低下することが認められている。

4.技術の適用範囲等

  • 道路沿道の局地汚染対策−−−−実験的な適用を含め実績5件
  • 路構造への適用(トンネル、掘割道路、掘割蓋掛道路などの換気対策)−−−−道路トンネル喚気塔から排気ガスを一部吸引して浄化するシステムへの実験的適用1件
  • 地下駐車場排気の浄化−−−−実績4件