JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第2回建設技術開発賞

優秀賞(JICE理事長表彰)

スピードセーブ工法 (第2回建設技術開発賞 優秀賞)

ミッション暮らしの質の向上に貢献する
応募技術名称スピードセーブ工法
副題速度抑制舗装
応募者名日本鋪道株式会社

技術の概要

1.開発の背景と目的

 わが国における交通事故の死傷者数は過去40年近く1万人レベルで推移し、さらに近年の交通事故件数は増加傾向にある。このため車両に制限速度内の走行を行わせる対策が求められ、この対策として交通取締まり等の交通規制対策(ソフト)やシケイン、狭さく、ハンプなど物理的対策(ハード)が行われている。通常後者は生活道路に限り適用されているものの一般幹線道路への適用は困難である。そこで物理的速度抑制対策であるハンプの持つ運転の危険、荷崩れ、車体の損傷などの欠点を解消させるとともに、速度抑制効果、事故抑制効果、暴走行為の排除といった特長を保持させたまま、生活道路のみならず一般幹線道路への適用も可能となるよう本工法の開発を行った。

2.技術の内容

 スピードセーブ工法は、舗装面の形状が滑らかな正弦波となっており、それを複数個連続して設置する構造になっている。この形状により当工法は、設計速度あるいは制限速度内での車両走行を連続的かつ滑らかに行わせる機能と、その速度内であれば安全な運転を確保させる機能とを併せ持つ。制限速度を超過すると車両の共振作用により運転者に不快感を与え速度抑制を促すことができるものである。

3.技術の効果

 本工法は従来技術であるハンプと同様、速度抑制効果による交通事故および騒音の減少、運転者に不快感を与えることによる暴走行為の排除といった効果がある。

 従来技術と比較し異なる点は、設計法定速度で円滑に走行可能であること、速度超過車両に対してのみ不快感を与えられること、振動、衝撃音、ブレーキ音、エンジン音の発生がほとんどないこと、さらに波形を変えることで低速で走行する生活道路から、高速で走行する幹線道路にまで適用可能としたことが挙げられる。

4.技術の適用範囲等

  • コミュニティ道路、住宅街道路における騒音抑制、事故抑制、通過車両低減。
  • 交通事故が多発している交差点手前での速度抑制。
  • 一般幹線道路における速度抑制。
  • 工業団地内道路、一般幹線道路、山岳道路等における集団暴走行為の排除。
  • 適用実績 道路改修工事(品川区八潮五丁目) 他32件

 平成8年から施工を開始し、平成12年3月までの施工実績は33件を数え、その適用範囲は、住宅地の生活道路から大型車交通のある幹線道路にまで拡大してきている。