JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第3回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

入賞: 1層で2層分の機能を有する機能傾斜系瀝青舗装材料「スーパーエスマック」 (第3回国土技術開発賞 入賞)

ミッション品質の確保及び性能の向上に寄与する
応募技術名称1層で2層分の機能を有する機能傾斜系瀝青舗装材料「スーパーエスマック」
副題深さ方向に異なる機能(表面部はポーラスで中基底部は密実で耐久的)を1層施工で構築できる舗装技術
応募者名日本鋪道(株)
技術開発者日本鋪道(株) 溝渕優
        松尾久志
        市原利明
        森川友紀
共同開発者(独)北海道開発土木研究所

技術の概要

1.技術開発の背景と目的

 舗装の表層は、舗装の最重要部分であるため、当該層が材料的にも力学的にも深さ方向に『均質』となるように設計・製造・施工されるのが一般的である。このため、昨今の舗装に対する多様な技術的要請に対応したくとも、単機能層を積層した形の表層を1層施工で構築することは困難とされていた。

 この課題を解決するため、代表的な機能性舗装である排水性舗装と、極めて耐久性に優れた砕石マスチック(SMA)各々の長所を併せ持つ新混合物を設計・製造し、しかも機能傾斜型の1層施工で構築するといった、従来技術の革新に繋がる技術の開発を目指した。

2.技術の内容

 スーパーエスマックは新粒度のアスファルト混合物であり、製造・敷き均し・転圧に係る設備機類 は通常のものでよいが、その製造および施工においては、特に高度な温度管理と転圧に係る施工管理などによって、深さ方向に異なる機能(表面はポーラスで中基底部は密実で耐久的)を1層施工で構築できる舗装技術である。

3.技術の効果

 スーパーエスマックは、深さ方向に機能が傾斜する点で従来の表層用アスファルト混合物とは異なる。すなわち、その表層部は排水性舗装のキメ深さを持つため、耐すべり性、視認性の向上、騒音の抑制、融雪剤の残留効果などに優れ、一方中基底部はSMAの特性を有して塑性変形やひび割れ抵抗性に優れるなど耐久性に富んでいるだけでなく、交通荷重によるキメ深さ潰れや、タイヤチェーンや除雪用グレーダブレードによる粗骨材の剥脱・飛散といった課題を解消でき、もって昨今の技術的要請を積み残すことなく解決できる。

4.技術の適用範囲等

  • 安全対策、環境問題、長寿命化、コスト縮減、コストパフォーマンスの向上などの配慮が必要な箇所(一般地域と積雪寒冷地の別、重交通路とそれ以外、道路・空港・橋面の別、一般路・坂路・交差点部、新設・維持管理の別を問わない)
  • スーパーエスマックは、使用するアスファルトの種類(高粘度改質、改質U型、ストレート等)によってコストパフォーマンスのレベルを考慮でき、施工実績は1997年以降国道を中心に計45件を数えている。