受賞技術概要
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第4回国土技術開発賞
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- 第4回国土技術開発賞
優秀賞(国土交通大臣表彰)
トレカラミネート工法 (第4回国土技術開発賞 入賞)
応募技術名称 | トレカラミネート工法 |
副題 | 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)板による構造物の補修・補強工法 |
応募者名 | (株)大林組 東レ(株) 日本シーカ(株) |
技術開発者 | (株)大林組 木村 耕三 三浦 憲 萩尾 浩也 東レ(株) 深川 英明 日本シーカ(株) 土屋 好男 |
技術の概要
1.技術開発の背景及び契機
21世紀の建設分野において、高齢化社会への対応、地球環境の維持・保全を目指したインフラの整備とこれに対応できる技術開発が必要不可欠である。
高齢者・身体障害者への対応として、車椅子で使用できるエレベータ等の昇降設備やトイレの新設・増設が求められている(ハートビル法、交通バリアフリー法)。また、地球環境の維持・保全の対応として、既存構造物の長寿命化(リニューアル)を通じて建設廃棄物の削減と省資源化が図られる。リニューアルによる構造物の長寿命化では、用途変更や設備の更新に伴って増加する積載荷重に対する構造物の補強が必要となる。これらのニーズに対して、工事中の周辺環境(騒音・振動・粉塵等が少ない)に配慮し、かつ、構造物を使用した状態(操業停止あるいは、一時移転が不要)で行える、施工性に優れた補修・補強工法が求められてきた。
2.技術の内容
軽量で耐久性に優れ、かつ高強度・高弾性の炭素繊維(商品名:トレカ)を工場で一方向に引き揃え、エポキシ樹脂を含浸・硬化させて製造した板状の炭素繊維強化プラスチック(トレカラミネート)を粘性の高いエポキシ系接着材で構造物の表面に貼り付けることによって既存の構造物を補修・補強する工法である。
3.技術の効果
高齢化対策として行う都市施設のバリアフリー化における構造物のスラブの開口補強および、既存構造物の長寿命化を含めたリニューアル工事において、低騒音・低振動など施工に伴う周辺環境への影響が少なく、かつ、建設廃材の発生が少ないリニューアル工法として利用することが出来る。
高強度で軽量な炭素繊維を補強材とした補強工法の開発によって、従来工法では施工が困難な部分の補強も可能となるほか、仮設機材等の費用を減少させることによって、従来工法に比べて工期およびコストを20〜30%低減することができる。
4.技術の適用範囲等
- 腐食などにより引張鉄筋の断面積の不足が予想される鉄筋コンクリート部材の曲げ補強
- 構造物の用途変更等に伴い開口部を設置する場合の開口補強
- 用途変更等による積載荷重の増加に対する曲げ補強
- 外壁等のコンクリートのひび割れ進展防止、等に適用できる
5.技術の適用実績
大阪城天守閣改修工事(1997年3月) 他73件