JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第15回国土技術開発賞

地域貢献技術賞 中山間道路走行・ゆずりあいロード支援システム 技術開発者 北川尚 受賞コメント

第15回国土技術開発賞 地域貢献技術賞 中山間道路走行・ゆずりあいロード支援システム
技術開発者 高知県 北川 尚

受賞にあたって

この度は、ITS走行支援システムが栄誉ある国土技術開発賞「地域貢献技術賞」を賜り、地域ITSの普及促進に取り組んできました私にとりましては何よりも嬉しい受賞です。本システムの開発・実用化に際し、ご指導・ご支援をいただきました関係者の皆様には心から御礼を申し上げます。

 このシステムは、道路インフラの整備が遅れた本県、特に中山間地域に多く残っている車が擦れ違うことができない狭隘区間をおいて、出会い頭事故の防止やバックによる時間ロスの軽減を図ることを目的として開発したものです。

 未改良区間が多く残る本県においては、2車線改良を補完する手法として、交通量が比較的少ない中山間地域において、1.5車線的道路整備によって移動の利便性・快適性の改善を図ってきたところです。しかし、この1.5車線的道路整備さえも完成するまでには多くの時間と費用を必要とします。そこで、当面の安全確保と利便性向上を目的として、対向車の接近情報をドライバーに提供するシステムの開発に着手しました。

 システム開発にあたっては、可能な限り低コストで、かつ安全性と利便性の向上に寄与できるものとし、さらには地元企業のビジネス機会の拡大に繋げられる仕組みを構築することを念頭に置きました。その結果、第一段目として開発した「中山間道路走行支援システム」では、表示部を電光文字か固定文字のいずれかが選択できるものとし、第二段階目の「ゆずりあいロード支援システム」では、車両検出や通信の仕組みを変更するとともに、表示部に新たにピクトグラムを採用するなど、導入する道路の状況や交通量によって有効なシステムが選択できる構成としています。

受賞後の動き

 地域ITS(草の根ITS)は、本県をはじめとし道路整備が遅れている地域にとっては、移動の安全性と利便性の向上に寄与できると確信しています。今後は、地域固有の道路事情に柔軟に対応できるようシステムに改良を加えながら、さらに使い勝手の良いシステムに仕上げていきたいと考えています。