JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第15回国土技術開発賞

入賞 低改良率セメントコラム工法(ALiCC工法) 技術開発者 柳浦良行 受賞コメント

第15回国土技術開発賞 入賞 低改良率セメントコラム工法(ALiCC工法)
技術開発者 基礎地盤コンサルタンツ(株) 柳浦 良行

受賞にあたって

この度、大変名誉ある国土技術開発賞に選考して頂き、ありがとうございます。

 ALiCC工法は、従来より大きな間隔でセメントコラムを地盤中に築造し、盛土直下の圧密沈下を軽減する軟弱地盤対策技術であります。

 従来より小さな改良率にすることが可能でコスト縮減、工期短縮を図ることができます。最近の軟弱地盤上の盛土築造では、工期の制約があるなか、周辺に影響を及ぼさない用地内での地盤改良が求められることがしばしばあります。このような場合には従来の安価な緩速盛土工法やドレーン工法が不向きとなり、比較的工事費の高い深層混合処理工法等の固結工法に頼らざるを得ませんでした。この固結工法では盛土両サイドののり面下を集中的に改良することが多く、地盤改良を行わない盛土中央部との境界で不同沈下が発生することがあります。ALiCC工法は、固結工法より安価であり、圧密沈下を低減するだけでなく盛土内の不同沈下を抑制する効果があり、上述の中間的な工法と考えています。

 私の経験した盛土工事では、ALiCC工法を採用するため地盤調査・設計を行い、試験施工での圧密沈下抑制効果を確認した後に本工事に採用し、29%の工事費の縮減を図ることができました。

受賞後の動き

 平成23年度実績では累計30箇所でALiCC工法が採用され、その優位性が全国で認められるようになりました。今後、ALiCC工法が全国に広まるにつれて、未経験の地盤条件での設計・施工が行われると考えます。そのような場合には、十分な地盤調査を行い、地盤工学的な考察に基づいた設計、試験施工を行った後に本工事に用いることが必要と考えます。このような場合には土木研究所に協力して過去の経験を踏まえた適切な助言を行なう所存であります。