JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第15回国土技術開発賞

入賞 低改良率セメントコラム工法(ALiCC工法) 技術開発者 三木博史 受賞コメント

第15回国土技術開発賞 入賞 低改良率セメントコラム工法(ALiCC工法)
技術開発者 (株)三木地盤環境工学研究所 三木 博史

受賞にあたって

 ALiCC工法の誕生のきっかけは、もう20年ほど前になる1990年代当初に、キタック社が関与した新潟県の地盤改良工事の設計相談に、土木研究所の土質研究室長として対応したことにさかのぼります。当時は、改良杭の全面配置による地盤改良を道路工事で本格的に採用した例はほとんどなく、設計も手探り状態でした。

 その後、1996年から開始したタイの軟弱地盤対策に関するJICAの日・タイ研究協力プロジェクトにおいて、プロジェクトリーダーとして本工法を推奨し、オンザジョブでパイロット的に効果を検証しながら、ALiCC工法の前身を確立しました。(タイでは、改良杭の径が60cm、改良率が約14%のフローティング式でした。)本工法は、タイで爆発的に普及し、当時建設中であった新空港のアクセス道路や幹線道路の残留沈下対策は、すべて本工法一色になったほどです。

 こうしたタイでの実績をふまえて、日本に逆輸入する形で広まりつつあるのが、現在までの本工法の歴史です。この間、日本道路公団からJICAの長期専門家として研究協力プロジェクトを支えてくださった久保様、中谷様をはじめ、タイの高速道路建設の施工監理を担当されパイロット工事に全面的に協力してくださった日本工営の皆様には、公私ともに大変お世話になりました。お陰様で、天の時、地の利、人の和という成功の3条件がそろった日本が誇るべきプロジェクトが成就しました。

受賞後の動き

 技術は日進月歩です。これからは、ALiCC工法を発展させたCGI工法(未改良の土の拘束効果を考慮した地盤改良工法)の開発・普及に努めていきたいと考えております。