JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第14回国土技術開発賞

最優秀賞 URUP工法 技術開発者 井澤昌佳 受賞コメント

第14回国土技術開発賞 最優秀賞 URUP工法
技術開発者 (株)大林組 井澤 昌佳

受賞にあたって

この度、大変名誉のある最優秀賞にご選考頂きましたこと、本当にありがとうございました。

URUP工法は、都市部の交差点や踏切で慢性的に発生する交通渋滞を解決するとともに、工事期間中においても周辺に影響を与えることなく、短期間に完了することをコンセプトに、誰もが求める技術として、開発してきました。

URUP工法の開発から実務責任者として机上検討や実証実験工事の施工計画を行いました。開発当初は、シールド工法による今までに例のない地上発進、地上到達を実現するために、地盤変状を抑制する矩形シールド機に装備した側部カッターなどのリスクに備えた装備や管理方法を検討して、実証実験工事を実施しました。実施中は多数の見学者が訪れ、本工法への皆さんの関心の高さを実感し、必ず実用化すると決意を新たにしたことを覚えています。

実証実験工事でリスクに備えたシールド機の有効性を検証した結果、装置による地盤変状抑制効果よりもシールド工法の基本である切羽土圧管理のほうが有効であることが確認できました。これにより、矩形のみならず従来の円形シールドでも本工法を適用することが可能となり、形状を問わず、地上から地下にアクセスする道路や鉄道トンネル、地上発進・地上到達、小土被りで河川・海底などを横断するライフライントンネルなど、シールド工法の適用範囲を拡大することができました。

本工法の第1号工事である「中央環状品川線大井地区トンネル工事」では、監理技術者として従事し、開発から得られた知見を生かして国内最大の泥土圧シールド機によるURUP工法を成功させることができました。

受賞後の動き

URUP工法は、実績を積み重ね、大断面から小断面まで、円形から矩形まで、密閉型シールドから開放型シールドまであらゆるシチュエーションにも対応できる工法として、バリエーションを広げています。さまざまな場面で本工法が適用され、社会に貢献できるよう、開発者一同、努力していく所存です。