JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第17回国土技術開発賞

入賞 高効率化・低コスト化・高精度化を実現する流量算出法 技術開発者 柏田仁 受賞コメント

第17回国土技術開発賞 入賞 高効率化・低コスト化・高精度化を実現する流量算出法
技術開発者 パシフィックコンサルタンツ株式会社  氏名:柏田仁

受賞にあたって

この度、名誉ある国土技術開発賞・入賞を賜り、誠に光栄に存じます。

我々は、従来の流量観測手法の課題を解決するために、「流速内外挿技術(流量算出技術)」に着目し、DIEX法を開発致しました。本技術は、現地観測で得られた「点」または「線」流速データから、運動方程式を満足する形で「面」流速データ・流量を算出する河川流計算手法です。本技術を流速計測の従来・新技術と融合することで、高効率・低コスト・高精度の流量モニタリングシステムを構築することが可能です。

近年、超過洪水の増加により従来の観測手法の適用が困難となる場合や、流量観測の担い手の不足により観測の継続が困難な状況となっています。本技術がこれらの課題解決に寄与し、河川管理の高度化や今後の河川整備の最適化に貢献することを期待しております。

本技術の開発にあたって、東京理科大学・二瓶教授(本技術開発代表者)および水理研究室の皆様には現地観測・数値解析ともに丁寧なご指導を頂きました。また、数値解析モデルの作成および実用化には、パシフィックコンサルタンツ鰍フ浜口憲一郎氏、市山誠氏、山ア裕介氏らに有益なご助言を頂きました。本技術の実用化に向けた実証試験は、国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所、同・北陸地方整備局信濃川下流河川事務所を始めとする多数の河川管理者の方々の御協力を頂くことで実施できました。ここに記して、深甚なる感謝を表します。

最後に、本技術開発を応援し、叱咤激励してくれた妻・麻実、支えてくれた子どもたち、早和・健・和佳に深甚なる謝意を表します。

受賞後の動き

汎用ソフトウエア「DIEX-Flow」のバージョンアップとしての適用流速計測技術の広範化により、本技術の普及と標準化を目指しております。

また、各種流速計メーカー等との連携により、次世代のリアルタイム流量モニタリングシステムの構築を進めている他、同システムで得られる高精度のリアルタイム流量を活用した、新たな河川管理手法の開発に歩を進めております。