JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第16回国土技術開発賞

最優秀賞 浮体式仮締切工法 技術開発者 神藤拓也 受賞コメント

第16回国土技術開発賞 最優秀賞 浮体式仮締切工法
技術開発者 日立造船(株) 神藤 拓也

受賞にあたって

このたびは、国土技術開発賞 最優秀賞という名誉ある賞をいただき、まことにありがとうございます。本技術の開発においては、多くの皆様のご指導・ご支援を賜ったおかげで大きな成果を上げることができ、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

本技術は、ダム再開発工事においてこれまで培われてきた仮締切設備の技術を基本として、大深度での水中施工など仮締切設備特有の安全性や工程・コストなどの課題に対応すべく開発に着手致しました。

仮締切設備は、鋼製の仮締切設備を設置し、その内部の水を抜きドライな空間を確保するもので、ダムを運用しながら施工を行うことができる利点を有しています。従来の仮締切設備では、台座コンクリートや支持架構という大規模な仮設工が必要であり、また大深度での潜水作業等の難易度の高い作業が必要でした。これらを軽減し、安全性向上・工程短縮・コスト縮減等、施工の効率化の実現を目指し開発したのが、浮体式仮締切工法です。

浮体式締切工法は、仮締切の扉体を浮体化したもので、扉体内の区画に適正な順序で充水/排水を行い、浮力と自重のバランスを調整します。また扉体上方のダム堤体に設置した浮上り防止金物で浮力を支持する方式であり、上記の仮設備や潜水作業を最小化できることが特徴です。

このような中、国土交通省九州地方整備局川内川河川事務所殿より鶴田ダム再開発において、本工法の施工試験ならびに3号放流設備への実機適用の機会を得て、設置・ドライアップ・仮締切内での施工・撤去と一連の工事を無事終え、十分な性能を発揮することができました。このような機会を与えて下さいました国土交通省関係各位やダム技術センターの皆様ならびに鶴田ダム再開発技術検討委員会の方々には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

また、本設備が今後のダム再開発事業における一助になれば幸いと思っております。

受賞後の動き

浮体式仮締切設備は、従来工法と比べ遜色のない機能を発揮することができました。今後は浮体式仮締切設備の優位性(安全性・工程短縮・コスト縮減)を前面に出し、土木・機械の垣根を越えた協力でダム再開発事業に寄与していく所存です。

また、まだまだ改善の余地がありますので、より効率的で安全な施工ができるよう、更なる技術開発を進めていきます。