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調査報告・研究成果 / 国際協力活動

第21回 日・韓建設技術セミナー開催報告

開催経緯

JICEは、日本と韓国の建設技術の交流及び発展を図り、さらには両国の友好と親善に寄与すべく、建設技術の調査研究・普及を通じて社会資本整備に貢献する共通の目的を持つ韓国建設技術研究院(以下、KICT)と建設技術交流を実施しており、この建設技術交流の一環として1990年から毎年継続して日・韓建設技術セミナーを開催しています。

セミナーの概要

第21回目となるセミナーは、去る平成22年9月7日(火)に韓国京畿道高陽市にあるKICT新館1階のカンファレンスルームにて開催されました。JICEからは、藤本理事を団長とする総勢13名が参加しました。

第21回 日・韓建設技術セミナープログラム

<開会式>

開会の挨拶 趙 柱(KICT 院長)
祝  辞 藤本 保(JICE理事)

<特別講演>
「韓国のSOC(Social Overhead Capital)投資及び整備方向」
講演者:李 城 浚 国土海洋部 技術政策課長

セミナー会場内

各発表の要旨

T.共通課題発表・討論(河川セッション)
  内    容 発 表 者
発表1 韓国における都市洪水災害の特性とEFVSを用いた脆弱性分析 金 炳 植 KICT 水資源研究室 首席研究員
本調査研究では、2009年の釜山広域市の事例を対象に、都市における洪水被害の原因について検討するとともに、 韓国の都市洪水災害の原因と問題点に関する考察について発表を行った。
さらに、GIS基盤の洪水災害脆弱性評価システムを用いて都市災害の発生についてモニタリング・評価することで、都市災害の発生範囲や程度を時空的に定量化するとともに、 これを都市の洪水災害対策を策定するための情報として提供する方法について発表を行った。
発表2 首都圏大規模水害における氾濫域の脆弱性評価に関する研究 岡安 徹也 JICE 河川政策グループ チームリーダー
建設管理・経済研究室 首席研究員
利根川や荒川といった大河川は、その氾濫域に首都圏を擁し、一度破堤氾濫が生じた場合、社会経済に及ぼす影響は計り知れないものとなる。 このため首都圏大規模水害におけるリスクを評価し、有効な対応策を立案することが必要である。
そこで、本調査研究では、利根川や荒川等の堤防が決壊した場合における氾濫状況のシミュレーションから 氾濫流の挙動や氾濫形態の分析、死者数、孤立者数の推定、その他の被害様相の想定等に基づく氾濫域の脆弱性の評価について発表を行った。
パネル討論 <座長>李 東 律 KICT 水資源研究室 研究委員
金 顯 峻 KICT 水資源研究室 研究委員
桑島 偉倫 JICE 河川政策グループ チームリーダー
U.共通課題発表・討論(道路セッション)
  内    容 発 表 者
発表1 DSRCベース次世代ITSの構築方策について 張 鎭 煥 KICT 尖端交通研究室 先任研究員
これまではETCSでしか使われていなかった5.8 GHz DSRCが、近年における無線技術の発展、ETCSユーザーの急増、地点検知器を中心とした既存の交通情報提供システム(ATIS)の 非効率性に対する認識の拡がりにより、ATIS分野においても適用が拡大している。 DSRC交通情報システムは、道路にRSEを設けてOBU搭載車の通過を検知することで、区間通行時間を測定するシステムであり、 地点検知器中心の交通情報より信頼性が高いシステムとされている。
そこで、本調査研究では、全国的に構築が活発化しているDSRC交通情報システムの現状について概観するとともに、主に道路交通情報を提供するために利用されていたDSRCベースの ITSを、信号交差点や悪天候時の危険道路に関する情報提供、さらには効率性の高い物流(logistics)システムの構築等の分野に拡大・適用する方策について発表を行った。
発表2 日本におけるITSの展開 谷口  宏  JICE 道路政策グループ 上席主任研究員
日本におけるITS(高度道路交通システム〜Intelligent Transport Systems〜)施策は2つ戦略的なステージにより進められてきた。 ファーストステージではインフラ牽引の視点からアーキテクチャーの構築、VICS、ETCを用いた標準サービス等の施策を中心に展開し、 今日の交通社会において欠かす事の出来ない社会インフラとして確立している。セカンドステージでは、 官民協働の視点からプラットフォームの構築(路車間通信ツール)や次世代道路サービスの構築等を中心に施策展開を行い、 現在、利用者の視点からプラットフォームを活用した安全運転の支援や官民協働による地域活力や産業活性化に資する新たなサービスの構築に向けた取り組みを推進している。
本調査研究では、我が国がこれまで推進してきたITSの取組、次世代ITSにおける事業展開、今後の方向性について発表を行った。
パネル討論 <座長>白 南 普@KICT 尖端交通研究室長
姜 元 義 KICT 尖端交通研究室 研究委員
和田  卓 JICE 道路政策グループ チームリーダー
V.共通課題発表・討論(都市住宅セッション)
  内    容 発 表 者
発表1 韓国における集合住宅団地の再生(リモデリング)の現況と課題 金 洙 岩 KICT 建築計画環境研究室 先任研究委員
韓国における集合住宅(アパート)リフォーム関連の法律は、2001年に建築法に規定が盛り込まれることで制定された。 今回調査したリフォームのパターンとしては、老朽化した設備や内装、仕上げ材の取り替えを中心に実施された改修型のリフォームと面積の拡張を伴う増築型リフォームがある。
現在、増築型を中心にリフォームが進められているが、一律的に専用面積30%の比率で増築が行われているため、小型面積の場合は増築可能面積が限定される上、現在の平面より既存の平面型のBay数が少ないために室内開放性を充分に確保することができない状況にあり、また、所有者の費用負担の上昇も一つの問題点である。そのため、リフォームの発展のあり方 に関する模索が求められている。所有者の経済性を確保しつつ、安全で快適な環境改善を実現するための総合対策の策定が重要な解決すべき課題である。
本調査研究では、韓国における集合住宅団地の再生方法の一つであるリフォームの現況と特性について概観するとともに、今後の解決課題について発表を行った。
発表2 少子高齢化及び人口減少時代に対応した大規模住宅団地の再生 林 直 人 JICE 都市・住宅・地域政策グループ 副総括
尖端交通研究室 首席研究員
日本では高度経済成長に起因した大都市圏への人口集中による居住問題の解決のため、1960年代から大都市郊外の人口の希薄な丘陵地等に多くの大規模住宅団地、いわゆるニュータウンが開発された。
 高度経済成長期に急速に整備された多くのニュータウンにおいては、短期間に大量の住宅等が供給され、同世代が一斉に入居したといった特徴を有しており、このため、今日、居住者の高齢化・人口減少や住宅及び関連施設の老朽化等のいわゆるオールドタウン化の問題が顕著に生じており、再生に向けた早急な対策が必要とされている。
本調査研究では、日本におけるニュータウン開発の歴史を振り返るとともに、オールドタウン化の課題を整理し、国における対応策の検討状況や団地再生の取り組み等を紹介し、今後の対応の方向性について発表を行った。
パネル討論 <座長>林 錫 湖 KICT 建築計画環境研究室長
黄 恩 鏡 KICT 建築計画環境研究室 研究委員
林 直 人 JICE 都市・住宅・地域政策グループ 副総括
W.共通課題発表・討論(地下道路セッション)
  内    容 発 表 者
発表1 大深度地下道路建設の現況及び技術開発の方向 金 昌 k KICT 地盤研究室 研究委員
近年、先進諸国では、大都市の交通渋滞を解消するとともに、地上の緑地空間を確保するため、地下交通施設の建設が推進されている。韓国においても、ソウルや首都圏を中心に様々な関連事業が行われている。しかしながら、国内における大深度地下道路の建設経験は少なく、関連の核心技術の検討や技術蓄積も不十分である上、大深度交通 施設の安全や防災に対する議論も充分に進められていないのが現状である。そのため、より精緻な検討に基づいた技術的・政策的な検討が求められている。
そこで、本調査研究では、韓国における大深度を活用した交通施設関連の主要プロジェクトの現況について検討するとともに、安全かつ経済的な大深度地下道路を建設するための技術開発の必要項目を洗い出すことで、今後の研究開発の方向性について発表を行った。
発表2 大深度地下道路トンネルの技術と調達 佐々木政彦  JICE 技術・調達政策グループ チームリーダー
本調査研究では、日本における地下道路トンネルの整備の経緯と大深度地下利用に係る制度を整理し、具体事例として大深度地下を利用した道路計画である東京外かく環状道路の事例について発表を行った。さらに、大深度地下道路トンネルの代表的な施工法であるシールド工法に係る技術開発の動向について整理するとともに、地下道路トンネルの事例を踏まえつつ、大規模で高度な技術を要する調達のあり方について発表を行った。
パネル討論 <座長>金 鎭 萬 KICT 地盤研究室長
安 大 熙 ソウル市 道路計画担当官 地下道路チーム長
中野 順行 JICE 技術・調達政策グループ 上席主任研究員

セミナー中はもとより、セミナー終了後もセッションごとの担当者との活発な意見交換が行われ、盛況のうちに第21回セミナーを終わらせることが出来ました。 第21回セミナーの開催準備等にご尽力いただいた皆様に感謝申し上げます。

集合写真