• JICEについて
  • 調査報告・研究成果
  • 助成・表彰・審査制度
  • 技術資料・ソフトウェア
  • 国土を知る

助成・表彰・審査制度 / 国土技術開発賞

    • 第16回国土技術開発賞

入 賞

ADCPを用いた河川の流量・土砂同時観測手法 (第16回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称ADCPを用いた河川の流量・土砂同時観測手法
副題出水時の水面下の現象を高精度で把握できる技術
応募者名(独)土木研究所/(株)ハイドロシステム開発
技術開発者〔(独)土木研究所〕萬矢 敦啓・本永 良樹/〔(株)ハイドロシステム開発〕橘田 隆史

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

河川は地球上の物質循環に大きな役割を果たしているが、輸送物質量である河川水流量・流砂量を精度よく測定することは、豪雨時の出水・洪水から国民の生命・財産等を守り、また水資源の有効的な利活用を図るための国土管理・河川管理を実施する上で最も基本的なデータとなる。これまで、様々な流況における河川水流量・流砂量を計測するための努力が重ねられてきたが、特に高水時は、浮子投入による流速測定と河道断面積から流量を簡易に推定する技術的手法にとどまってきた現状があり、断面積が変化する河川の流量・流砂量を正確に把握することは困難であった。これらの現象を正確に把握するために、河川の水面から得られる情報だけでは不十分で水面下で起きている現象の情報が必要となる。そのような中、超音波多層型計測技術(ADCP)は海洋の計測技術として開発されたもので、鉛直方向の河川水の流速分布、川底の高さ(河床高)、川底を流れる土砂の移動速度(河床面移動速度)を計測することができる。一方、近年、非接触型流速計の開発が進んでいる。これは河川水の表面流速を計測するものであるが、水面下で起きている現象を反映させることで、河川水の流量値を得ることができる可能性を持つ。そこで今回、ADCPを用いて流量及び流砂量を同時に観測できる手法を開発した。

2.技術の内容

本技術の内容は以下の3つの項目で構成されている。それらは(1)高流速条件においてADCP観測を可能とする周辺機器の開発と既存の技術を統合するためのシステム化、(2)掃流砂量を換算するためのデータ解析アルゴリズムとプログラム、(3)高精度な流量観測手法である。(1)は橋上操作艇を含めた周辺機器の技術開発を実施し、急流河川においても計測を可能にするものである。(2)はADCPの観測結果から実河川における流砂量を算定するためのデータ解析アルゴリズムである。(3)は河川の表面の情報から得られる表面流速値とADCPから得られる水面下の情報を基に、河川水流量値を算出するためのシステムを開発した。最後に(1)及び(3)をまとめて、流量観測を実施するためのマニュアルを作成した。

3.技術の効果

本技術を用いて日本国内の多くの河川において河川水の流量・流砂量をを同時に観測するシステムが完成した。またこれを用いた観測結果から、河川水流量・流砂量の時空間分布、河床変動の状況など、河川管理に必要な現象が見えるようになった。また日本国内でも有数の急流河川である姫川において流速7m/sを超える状況においても、ADCPを用いた河川水流量の計測を成功させた。また大きな河床変動を伴う河道において、ADCPと非接触型流速計を組み合わせることで、流量値の不確定を10%以内に抑えることができるようになった。

4.技術の適用範囲

  • 国内の全ての一級河川

5.技術の適用実績

平成24年度姫川流量観測検討業務、平成24年6月〜平成25年3月   他9件

写真・図・表

図―1 観測結果から得られた小規模河床波と、それに伴う掃流砂量の時間変化

図―2 実測により得られた水位と河床変化の様子(63.0mよりも上の曲線は水位、それより下の曲線は河床)

図―3 河床変動が大きな河川における、異なる手法で算出した流量値の時間変化