JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第13回国土技術開発賞

優秀賞(国土交通大臣表彰)

サブマリンクリーナー(SMC)工法 (第13回国土技術開発賞 優秀賞)

応募技術名称サブマリンクリーナー(SMC)工法
副題密閉吸引式底質除去装置
応募者名大石建設(株)
技術開発者〔大石建設(株)〕末永茂則
共同開発者〔長崎大学工学部〕夛田彰秀/(有)ラスエンジニアリング

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 環境ホルモンとして使用禁止されていたはずの有機スズが過去に船底塗料等に含まれるため、その難分解性の事由で各所の海底に残存し貝等に悪影響を与え続けている。既存の有害底質の除去工法では、除去時に有害物質を巻き上げてしまい二次汚染が心配され、また、有害底質を必要な厚さで除去できずに大量の土砂を浚渫してしまい陸上に大規模な土砂処理場が必要となる。これらの問題解決が困難であった。
 本技術は、密閉された装置内部でジェットを噴射させ、底質を洗い舞い上がらせてポンプで吸い上げることにより、海を濁らせることなく、環境ホルモン等が堆積する海底の有害底質を10cm の厚みで除去することができる。密閉式の為、浚渫時の海の濁りがなく、二次汚染の心配がない。また、土砂を薄く除去する為、揚土量及び処理量の減容化になり、大規模な埋め立て用地が必要なくなり工事費のコスト削減につながる。閉鎖性の強い海域の漁場の海域環境の改善に大きく貢献できるものである。

2.技術の内容

 海底の土砂及び海底に堆積した有害物質(TBT・ダイオキシン・PCB 等)又は有害物、浮泥を濁らずに(二次拡散することなく)10cm の厚さで除去する技術。

3.技術の効果

  1. 海底に堆積した底質を10cm の厚みで除去できる。
  2. 装置が密閉式の為、海底に堆積した有害物、有機物を2次拡散することなく除去できる。
  3. 3,000平米/ 日のスピード施工ができる。
  4. 海底の細かなシルトを除去し、粒子が大きい綺麗な砂を残す。同時に耕耘効果もある。
  5. 必要な土砂だけ除去する為、浚渫土砂の減容化と工事費のコストダウンができる。

4.技術の適用範囲

  • 漁港又は港湾の浮泥の除去
  • 養殖場の底質除去
  • ダイオキシン・TBT 又はPCB の除去
  • 漁場再生のための海底耕耘

5.技術の適用実績

 博多港浮泥除去工事、平成21年9月〜平成22年3月 他1件

写真・図・表