JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第15回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

UFCブロック耐震壁工法 (第15回国土技術開発賞 入賞)

ミッションUFCブロック耐震壁工法
応募技術名称UFCブロック耐震壁工法
副題通風・採光を可能にした耐震補強工法
応募者名戸田建設(株)
技術開発者〔戸田建設(株)〕三輪 明広・菊田 繁美

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 全国で大きな地震が発生し、耐震補強の社会的需要が大きい中、耐震補強工事はまだ僅かにしか進んでいない現状にある。耐震補強の進まない原因として工事中の騒音、振動、粉じんの発生もさることながら、耐震壁を設置することにより「圧迫感を与える」、「採光が取れない」などの問題がある。このような背景のもと、短工期、低コストで建物景観にも配慮し、建物を継続使用したままで、耐震補強工事が可能な耐震補強工法を実用化することを目的に研究開発に取り組んだ。

2.技術の内容

 UFCブロック耐震壁工法(以下、本工法)は開口率(63.4%)が高く、通風・採光が取れ、ブロックの色は自在で、従来の耐震壁のような圧迫感がなく、美観に配慮した耐震壁を構築することが可能である(図-1、写真-1〜4)。施工方法は、既存躯体との接合部に鋼管コッター(図-2)を設置し、架構内にUFCブロックを積み上げ、粘性の高い接着剤で接合することによって耐震壁を構築することができる。本工法は低騒音、低振動、少粉塵、居たままにして、かつ短工期を実現した耐震補強工法である。格子状をしているUFCブロックは、職人が持ち運び可能であり、積み上げる上げることができる大きさと重量である。

3.技術の効果

 本工法は、既往の耐震壁を増設する方法に比べて以下の利点を有する。

@通風・採光が取れ圧迫感のない耐震壁の構築が可能である。

Aエントランスホールなどでも美観を損ねることなく耐震補強工事が可能である。

B持ち運びが可能なブロックのため、静かに、省スペースで耐震補強工事が可能である。

C建物との接合は、低騒音・低振動・低粉塵の鋼管コッター工法を採用することで、建物を使用しながらでも耐震補強工事が可能である。

4.技術の適用範囲

  • 鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震補強壁に適用する。
  • 既存躯体のコンクリート強度が13.5N/mm2以上の構造躯体のみ採用可能とする。

5.技術の適用実績

医療法人尚寿会 大生病院耐震改修工事、平成24年10月〜平成24年12月   他9件

写真・図・表