JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第15回国土技術開発賞

4Dソナーによる施工管理システム (第15回国土技術開発賞 優秀賞)

4Dソナーによる施工管理システム(第15回国土技術開発賞 優秀賞)

ミッション4Dソナーによる施工管理システム
応募技術名称4Dソナーによる施工管理システム
副題リアルタイム水中可視化計測による施工管理技術
応募者名五洋建設(株)
技術開発者〔五洋建設(株)〕眞鍋 匠

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 水中施工では、作業状況の視認が困難なことにより、陸上施工と比較し、作業効率や施工精度が低下する。また、工種によっては施工箇所を観察し、船舶機械の重機オペレータを誘導するために、施工箇所近傍に潜水士を配置して重機オペレータが潜水士の誘導のもと、作業する場合があるが、吊り荷や重機と潜水士が接触する危険も案じられる。従来、ナローマルチビームソナーを用いて、海底計測が行われてきたが、2次元ソナーという特性上、リアルタイムの海底形状把握には不向きであった。そこで、水中施工において、作業効率、施工精度、および安全性を向上させるため、海底や水中構造物などの形状を4次元で計測し表示する4Dソナーによる施工管理システムを開発した。

2.技術の内容

 4Dソナーによる施工管理システムは、海底地形や水中構造物の形状を4次元(X,Y,Z,時刻)で計測し、表示および記録することができる施工管理システムである。ソナーにより50°×50°の範囲を128×128(16,384)本のビームで最大150mの距離まで計測することができる。データ更新レートは最大12fpsであるため、水中の動体計測も可能である。また、ソナーを艤装した船体の動揺を計測して補正することができ、超音波のノイズデータの除去も自動で行うため、従来は不可能であったリアルタイムの4次元の計測結果の表示が可能である。また、4Dソナーによる施工管理システムはソナー部を遠隔操作や自動操縦でパン、およびチルト可動させることができるため、ソナーの計測範囲である50°×50°以上の範囲を計測して表示することも可能である。当該施工管理システムにより、捨石投入、捨石均し、浚渫、ブロック据付、障害物撤去などの海上工事において、潜水士の誘導なく、船舶機械の重機オペレータが水中作業状況をリアルタイムに確認しながら作業を行えるため、作業効率および安全性の向上が実現される。

3.技術の効果

【作業効率の向上】

@ 水中施工時に、船舶機械の重機オペレータが水中作業状況をリアルタイムに確認しながら行えるため、潜水士による誘導や施工状況確認の測量の必要がなく、また作業の手戻りを防止できる。

A 港湾災害復旧工事の砕岩作業において、打撃位置を確認しながら行えるため、作業船の故障抑制に寄与した。

B 港湾災害復旧工事の障害物撤去において、撤去物とグラブバケットの位置を確認しながら作業を行えるため、グラブバケットの破損防止に寄与した。


【安全性の向上】

ブロック据付や水中障害物撤去などを、潜水士による誘導なしに行うことができるため、吊り荷や重機と潜水士の接触を防止できる。

4.技術の適用範囲

 本システムの運用時の自然条件は通常の作業中止基準と同等であるが、計測精度を確保するために、適用範囲は工種によって変わる。各工種における適用範囲を表−1に示す。

5.技術の適用実績

八戸港八太郎地区防波堤(北)(災害復旧)ケーソン撤去外工事、平成23年9月〜平成24年8月   他15件

写真・図・表