JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第20回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

非構造面材取付け工法(第20回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称非構造面材取付け工法
副題T-Flex Wallsystem
応募者名大成建設(株)
技術開発者大成建設(株) 橋爪慶介・飯島一成
共同開発者不二サッシ(株)

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 近年の建築の外装ファサードは、その建物の存在感や所有者・使用者のブランドイメージまでも印象づけ、さらには都市景観にも影響するまでにもなっている。そのため特に商業地域での外装ファサードデザインは、複雑化しているのが実情である。一方、意匠的に複雑化すると、外壁に必要とされる各種性能のうち特に層間変位追従性能の確保が困難となる場合が多い。高い層間変位追従性能を持ち、かつ、多様な意匠性に対応可能な非構造面材取付け工法を潜在的に市場が求めていた。

2.技術の内容

 開発した非構造面材取付け工法は、下地材に特殊断面のアルミ押出し型材を横架材(以下、特殊無目材)として用い、3種の取付け金物(以下、ファスナー)を介して非構造面材を留め付ける構成としている。特殊無目材は、複数の溝を有する断面形状を有し、それに沿ってファスナーが可動できる構造となっている。3種のファスナーは、自重受け固定用ファスナーと自重受け可動ファスナー、それに面外方向の荷重を負担するスライド用ファスナーである。3種のファスナーの断面形状は基本的にはアルミ型材で同一形状となる様に設計・開発し、自重受け固定用ファスナーは緩み止め機能付ナットで特殊無目に固定する仕様とした。層間変位追従性の対応としては、スライド機構となっている。特殊無目とファスナーは係合接合されることで、面内面外方向ともに高い層間変位追従性能を発揮する。また多様な意匠性に対応可能な非構造面材取付け工法である。

3.技術の適用範囲

  • 内外装の非構造面材(壁材)を対象とした取付け工法であり、下地システムである。
  • 非構造面材は金属板や石材などの汎用建材を対象とし、単位重量は70kg/u以下を対象としている。
  • 適用範囲内の仕様であれば、層間変位角:1/100 まで脱落・損傷なくスライド機構にて追従可能。

4.技術の効果

 非構造面材取付け工法は、アルミ型材を利用した特殊無目とファスナーを用いて係合接合の納まりが特長であり、非構造面材や各下地材の脱落の恐れがない安全で安心できる接合方法となっている。

 スライド機構である点で、非構造面材同士の目地幅を細くすることも可能である。

5.技術の社会的意義及び発展性

 近年では3DCADを利用した複雑な形状やデザインの外装ファサード設計が一般化しているが、当該開発技術を用いることで多様なデザインの非構造面材に対しても安全で安心できる施工が可能である。高い層間変位追従性能については実験により実証されているため、複雑化するデザインファサードに対して、設計者にとってより自由度の高い設計を可能にしている。適用範囲や基本的な機構を遵守すれば、2次元曲面や3次元曲面への適用も可能である。

さらに商業建築をはじめとする外装壁でランドマーク的なデザインを必要とする場合、当該技術を用いることで発災時でも外装材の脱落・破損リスクが非常に小さいため、在来工法に比べBCPの観点でも優位である上に、美しい街並み整備や街並み活性化の一助にもなると言える。

6.技術の適用実績

 銀座5丁目再開発計画新築工事(GINZA PLACE) 平成27 年3月〜平成28 年6月 他1件

写真・図・表