JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第20回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

床埋設式降下型避難機器(第20回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称床埋設式降下型避難機器
副題品名「UDエスケープ」
応募者名ナカ工業(株)
技術開発者ナカ工業(株) 城戸憲昌・藤谷哲也

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 集合住宅等のバルコニーに設置された火災時の避難ルートの一つである避難ハッチですが、高齢化の加速に伴い、はしごでは落下の危険性や恐怖感があるなどの理由で救助袋の設置を進める自治体が増え始めた。(写真−1及び2、3参照)  

 しかし、その救助袋でも落下事故が少なくはなったが、小さな子供、足腰の弱い方、片麻痺の方などの避難弱者と言われる方々にとっては、まだ避難が難しいのが現状であり、避難器具のユニバーサルデザイン化が求められていた。

2.技術の内容

 外観は、一般的な避難用ハッチと同じだが、ハッチ内部に昇降架台と格納された手すり、更にその昇降架台をガイドする支柱ポストで構成されている。(操作手順写真参照)

 有事の際は、ハッチを開放し、収縮された手すりを引き上げ、架台に乗ってロック解除のペダルを踏むだけで避難する事が可能な装置で、人の体重を利用し遠心ブレーキで減速しながら降下します。

 下階に到達し、人の体重が無くなるとポスト内部に内蔵されたカウンターウエイトにより電力を使用する事なく、架台だけを原点上昇復帰し、次の避難者は架台に乗りペダルを踏む事で連続避難を可能とした事で、体力を必要とせず、架台に自立可能な方だと子供から大人まで誰でも避難可能な装置。

3.技術の適用範囲

 身体能力に左右されず、動作も最低10kg のでも動作する事から、高齢者施設、乳幼児保育施設、病院、学校などに有効で、設置最大長さは6mで、ほとんどの階高に設置が可能。

4.技術の効果

 これからの高齢者人口増加による施設向けに対応する避難器具のひとつとなり、より多くの避難弱者が安全に避難する事が可能となります。

 また、設置場所も大きな敷地を必要としない事から、集合住宅の中高層階に乳幼児保育施設を設ける事も可能になり、待機児童対策にも役立ちます。

5.技術の社会的意義及び発展性

 避難器具の多くは、ユニバーサルデザインであるとは言い切れず、不安を抱えて生活している方も多いと考えられます。

 また、現状は良くても将来使用できない年齢となる事も考慮すると不安が残ります。

 本製品を設置する事で使用対象者の範囲が広がり、将来機器の取り替えも不要である事から、安心・安全な住生活が担保出来ます。

 更に今後、同構造を用い、車いすの方の避難や、乳幼児保育施設の避難用乳母車の避難等にも発展でき、全ての方が万が一の災害に備え対応出来る事となります。

6.技術の適用実績

 (仮称)あゆみビル新築工事、平成28 年5月〜平成28 年6月  他3件

写真・図・表