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受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第20回国土技術開発賞

優秀賞(国土交通大臣表彰)

ワイヤロープ式防護柵(第20回国土技術開発賞 優秀賞)

応募技術名称ワイヤロープ式防護柵
応募者名(国研)土木研究所
技術開発者(国研)土木研究所 平澤匡介/東京製綱(株)田代元司/(株)高速道路総合技術研究所 村松忠久
共同開発者JFE 建材(株)/神鋼建材工業(株)/東京製綱(株)/日鐵住金建材(株)/(株)高速道路総合技術研究所

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 郊外部幹線道路や高規格道路の往復非分離2車線道路では、対向車線への車両逸脱による正面衝突事故が起きるなど、交通安全上の課題があり、対策技術を開発することが急務であった。ガードレール等の中央分離施設では拡幅を伴うため費用が高額になり、設置が限られていた。狭幅員でも中央分離施設を設置している例として、スウェーデンで普及している2+1車線道路のワイヤロープ式防護柵がある。しかし、調査の結果、大型車の衝突に対応していないので、日本の防護柵設置基準に適合したワイヤロープ式防護柵の開発が必要となった。2017 年から国内の港湾工事において港湾i-Construction が導入され、3次元データを活用した施工の省力化・機械化が進められている。しかし、海上施工では気象・海象の自然条件が複雑であるため作業員の経験や熟練度に依存した施工法が主流である。そこでケーソン据付において、計測、注水、ウインチ操作を自動化したケーソン自動制御据付システム(函ナビ-Auto)を開発した。

2.技術の内容

 ワイヤロープ式防護柵は、高いじん性を有するワイヤロープと、比較的強度が弱い支柱により構成され、車両衝突時の衝撃に対して主にワイヤロープの引張りで抵抗する防護柵である。特徴は、衝突車両への衝撃緩和性能を有し、細い支柱の真ん中にワイヤロープを通すことで、表裏がなく、狭い幅で設置が可能である。また、容易に設置、撤去が可能なため、既存道路への設置や、狭い幅員の分離帯用として使用することが有利である。

3.技術の適用範囲

主に往復2車線道路の中央分離施設として設置

4.技術の効果

 往復非分離2車線道路において、中央分離施設として設置した場合、対向車線への車両逸脱による正面衝突事故を防止し、もらい事故による死傷者の発生を抑止する。さらに、ワイヤロープの衝撃緩和性により、ぶつかった車両の乗員への負傷も抑制する。ガードレール等の既存防護柵よりも低廉な設置費用に加え、設置必要幅が9cm と少ないので、道路拡幅費用も削減する。約200m 毎に配置されている張力調整金具は人力で外すことができ、ワイヤロープの張力が無くなると、支柱も抜くことが可能となるので、事故等の緊急時に開口部をどこでも設置することができる。通常の車両接触等による破損は支柱のみ交換となるので、短時間で補修が完了する。

5.技術の社会的意義及び発展性

 郊外部幹線道路や高規格道路は往復非分離の2車線道路は、正面衝突事故が起きると、死亡事故等の重大事故になりやすい。正面衝突事故は、過失の無い車両の乗員が事故に巻き込まれるので、抑止に対する社会的意義は高く、平成27 年11 月に会計検査院から、暫定2車線の高速道路で死傷事故が多発していることに対して、国土交通省や高速道路各社に分離帯設置など安全対策検討の提言が出された。国土交通省は平成28 年12 月に高速道路暫定2車線区間の正面衝突事故対策として、ラバーポールに代えてワイヤロープを試行設置し、安全対策の検証を行うと発表した。平成29 年4月から東・中・西日本高速道路3社が、12 路線で計約113km の区間にワイヤロープを試行設置した結果、平成30 年5月末時点で、設置前に45件あった対向車線への飛び出し事故は1件に減少し、死亡事故は7件から0件、負傷事故も6件から0件に減少したことを発表した。平成30 年6月、国土交通省は、「高速道路の正面衝突事故防止対策に関する技術検討委員会」での検証状況を踏まえ、土工区間について、本格設置を進める方針を発表した。

6.技術の適用実績

 帯広広尾自動車道幕別町共栄北5線舗装工事、平成26 年8月2日〜平成27 年3月30 日 他5件

写真・図・表