JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第19回国土技術開発賞

最優秀賞(国土交通大臣表彰)

建設機械の自動化による次世代の建設生産システム(第19回国土技術開発賞 最優秀賞)

応募技術名称建設機械の自動化による次世代の建設生産システム
副題汎用建設機械が自律的に施工を行うA4CSELの開発
応募者名鹿島建設(株)
技術開発者鹿島建設(株) 高田悦久、三浦悟
共同開発者(株)小松製作所

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 建設業では、他産業に比べ生産性が低く、近年、ICT を活用したi-Construction が推進されている。ま た、熟練技能者の高齢化や若手就業者の減少、建設機械と作業員の混在作業による労働安全性も未だ課題 として残っている。その解決策の一つとしてロボット化・自動化が進められているが、従来の情報化施工 システムや、リモコン等による無人化施工システムでは、生産性・安全性向上の二つの課題の抜本的解決 には至っていない。そこで、省人化、生産性、安全性のすべての課題にこたえるべく、次世代の自動化施 工システム「A4CSEL Ⓡ(クワッドアクセル)」を開発した。

2.技術の内容

 建設機械の自動化を核とした自動化施工システム「A4CSEL」(図−1)は、汎用建設機械に計測装置 や制御装置を設置し自動運転機能化したもので、機械自身が自律的に判断し自動運転を行うシステムであ る(図−2、3)。従来のリモコン等による建設機械の遠隔操作等とは異なり、タブレット端末から作業 指示を出すと機械が自動運転を行うため、一人で複数の建設機械を稼働させることができる。建設現場の 省人化を達成し生産性を飛躍的に向上させるとともに、自動化施工の利点として、施工フィールド内の人 員削減により安全性の確保、トレーサビリティによる品質の確保もあげられる。土工作業の基本(運搬・ 敷き均し・転圧)である一連の作業を自動化した(写真−1、2、3)。

3.技術の適用範囲

  • 土工事全般
  • ダム工事(フィルダム、RCDダム、台形CSGダム)
  • 災害復旧工事(土砂災害、放射性廃棄物貯蔵)
  • 建設機械を使用する工種、工事

4.技術の効果

【 省人化・生産性向上】最少人員で多数の機械を稼働させられるため、一人あたり生産量が飛躍的に向 上する。また、自動化された実作業から得られるデータを日々の施工計画にフィードバックすることに よって、自動化施工システムがブラッシュアップされ、生産性がさらに向上する。

【 安全性向上】本システムにより運転者は機械に搭乗する必要がなく、施工フィールドに存在する人員 を大幅に減らすことができるため、施工現場における機械関連の事故が飛躍的に減少する。

5.技術の社会的意義及び発展性

【社会的意義】@作業員、熟練工の将来的な不足問題の解消 A労働集約型産業からの脱皮 B建設業への他産業の参入促進により建設業の変革が加速 Cあらゆる作業がデータベース化され、施工計画の作成や変更が容易になり生産性が劇的に向上 D建設業が夢、魅力ある産業に変革

【発展性】@適用機種の拡大 A他工種、他産業への展開 B海外工事への展開 C宇宙開発に活用

6.技術の適用実績

 大分川ダム建設(一期、二期)工事 平成28 年4月〜平成29 年1月 他1件

写真・図・表