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助成・表彰・審査制度 / 国土技術開発賞

    • 第17回国土技術開発賞

入賞

密閉型矩形シールド工法(第17回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称密閉型矩形シールド工法
副題広範囲な地盤への安定掘進を実現した「パドル・シールド工法」
応募者名清水建設(株)
カヤバ システムマシナリー(株)
技術開発者清水建設(株) 金丸清人・白井健太郎
カヤバ システムマシナリー(株) 小高宏幸

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 近年、輻輳する埋設物や低土被り等の厳しい施工条件や、トンネル断面の有効活用のために、矩形断面のシールド工法の実用化が進んでいる。しかし、これらのシールドは円回転のカッタ方式を採用しており、コーナー部分まで掘削する為には機構が複雑となり、シールド機の製造に多くの時間とコストを要していた。また、矩形断面の掘削は円形と比べてアーチ効果による変状抑制が期待できず、特に、低土被り時に地表面変位が大きくなるという課題もあった。これらの課題を解決するため、発想を転換し、軸回転の横配置カッタを採用して機構の単純化を図るとともに、先受け機構により地表面変位を抑制する「密閉型矩形シールド工法(パドル・シールド工法)」を開発・実用化した。(図−1)

2.技術の内容

 本技術は密閉型矩形土圧式シールドであり、以下の3つの新機構により構成されている。

  1. 軸付き横配置カッタ:円筒形の横軸にビットを装備し、軸の回転により地山を切削する。縦方向には、カッタを複数段配置している(図−2)。各段カッタは各々独立した駆動部を有しており、各々のカッタは回転方向や速度が自在に制御できる。このシンプルな機構により低コストで矩形断面の掘り残しのない合理的な掘削が可能となる。
  2. 独立した強制攪拌機構であるパドルスクリュー:各チャンバーには新規開発のパドルスクリューと、チャンバー内土砂排土のためのスクリューコンベアを装備している(図−2)。パドルスクリューにより、カッタで切削した土砂はカッタ付近で吐出される添加材と強制的に攪拌混合され、地山の安定を図れる(写真−1)。
  3. 上段カッタスライド機構:低土被り時は、上段カッタを掘削方向にスライド可能とすることで、先受け効果により地表面の沈下を抑制できる。(写真−2)

3.技術の効果

 実大実証実験及び実工事である「合同長生送水管工事」の結果、以下の効果を確認した。

  • 実大実証実験における軟弱地盤での低土被りの施工条件下で、新規製作した実機(シールドタイプ)のパドルスクリューおよび上段カッタスライド機構により、地表面変位は限定的で大幅に抑制できた(15mm以内)(図−3)。
  • 「合同長生送水管工事」では、河川下横断で土質は土丹(図−4)であり、切削土砂によるチャンバーの閉塞が懸念された。新規製作した実機(推進タイプ)のパドルスクリューによる攪拌効果により、安定した掘進が達成できた。
  • 2例の実機による施工結果から、軟弱地盤から硬質地盤まで幅広い地盤に適用可能であることが確認された。
  • 実工事においては、施工誤差は15mm以内(平面・縦断)であり高精度な掘進管理が可能であった(図−5)。
  • パドル・シールド工法で用いる掘削機は、シールドタイプ(実大実証実験)と推進タイプ(実工事)の両方に対応できるため、施工距離や条件に柔軟に対応可能である。
  • 横配置カッタ(軸回転)の採用による掘削機構の単純化により、モーター等汎用部品も多く採用でき、掘削機の製作コストは、従来の矩形シールドに対して約30%削減が可能であり、製作工期は約50%削減が可能である。

4.技術の適用範囲

  • 対象地盤は軟弱地盤から硬質地盤まで適用可能。
  • 2車線程度の国道の交差点部のアンダーパスや高速道路ランプ、地下街や駅部の地下通路に適用可能。
  • 工場関連施設や都市インフラの地下管路等に適用可能。

5.技術の適用実績

合同長生送水管工事(実工事):平成24 年9月〜平成26 年5月 

写真・図・表