JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第17回国土技術開発賞

入賞

ETC電子マニフェストシステム(第17回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称ETC電子マニフェストシステム
副題ETC無線認証を活用した産業廃棄物管理システム
応募者名阪神高速道路(株)
阪神高速技術(株)
技術開発者阪神高速道路(株) 建部 実
阪神高速技術(株) 富澤康雄
(一財)関西環境管理技術センター 水田和真
共同開発者(一財)関西環境管理技術センター

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 道路、地下鉄、共同溝などのシールド工事では、日々大量の建設汚泥(産業廃棄物)が発生する。阪神高速グループでは循環型社会形成に向けて、大和川線シールド工事に伴う発生土の再生活用事業を計画した。平成23 年2月より阪神高速大和川線のシールド工事で発生する計画総量約79 万㎥の建設汚泥を、発生土再生作業所にて中間処理して貯木場(8.3ha)への埋め立てを実施している。このシールド発生土の運搬量は10t ダンプ換算で、のべ15 万8000 台(1日あたり約500 台)となる。産業廃棄物の発生から最終処分までの一連の処理工程管理には、廃棄物処理法により産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が義務付けされる。しかし、大量の産業廃棄物を排出する現場のマニフェスト管理は、排出事業者、収集運搬業者及び処理業者の伝票受渡や集計、5年間の保管義務など多大な負担がかかっていた。また紙伝票による管理では、記入漏れ、改ざん、なりすまし及び紛失の問題も発生している。

 そこで、産業廃棄物の移動におけるトレーサビリティを向上させ、不法投棄による環境汚染を未然に防ぐために、新たなマニフェストの認証の仕組みとして、有料道路で使用されるETC(電子料金収受システム)の無線通信を活用して、運搬車両の認証情報を電子マニフェストとして生成するETC電子マニフェストシステムの仕組みを開発した。

2.技術の内容

 シールド発生土の運搬管理を各現場に設置したETCゲートを通過させることにより、ETCの入出場記録から、電子マニフェストデータを生成し、JWNET(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター)システムと連携して、マニフェスト管理を行うものである。またシールド発生土の運搬途中についてはGPS車載機によって、運搬ルートを管理し、適正で円滑な作業の進行を図っている。(図−1 写真−1参照)

3.技術の効果

(1)省力化
マニフェスト交付に係る人員(排出事業者、収集運搬業者、再生業者の事務作業者)について、従来技術では事務作業者15 名が必要であったが、本技術では4名となり省力化を実現している。
(2)建設汚泥のリサイクル
本システム導入により道路事業で初めて「個別指定制度」を導入し約79 万㎥の建設汚泥のリサイクルを実施。
(3)周辺環境の影響抑制
1日500 台以上の運搬車両運行に際して、混雑時・非常時の待機・迂回を指示し、周辺道路の滞留を回避している。

4.技術の適用範囲

・ ETCを設置する現場に電源(100v)、インターネット(光又はモバイル回線)が確保できることが必要である。
・ETCアンテナの設置高さは、地上から2〜10mであり、屋外設置が基本である。(写真−2参照)
・ 大量の建設副産物(建設発生土、建設汚泥)が発生する工事現場、シールドトンネル工事現場、災害廃棄物処分現場に最適である。(写真−2参照)

5.技術の適用実績

都市計画道路大和川線シールド工事、平成23 年2月〜 27 年11 月   他5件

写真・図・表