JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第17回国土技術開発賞

入賞

高炉スラグを用いた超耐久性コンクリート(第17回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称高炉スラグを用いた超耐久性コンクリート
副題ハレーサルト
応募者名ランデス(株)
技術開発者ランデス(株) 細谷多慶

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 本技術開発の背景は、製鉄の過程で発生するスラグの有効利用とコンクリートの長寿命化である。コンクリートに求められる耐久性は、耐塩害性、耐凍害性、化学的劣化およびそれらの複合劣化である。これらの耐久性向上を目標として高炉スラグを用いた超耐久性コンクリートの開発を行った。ランデス社の位置する瀬戸内海地方は製鉄プラントが多くあり、ランデス社の倉敷工場は二十数年前よりその製鉄所内に位置し、鉄鋼スラグを用いたスラグコンクリートの研究開発を行っていた。同時期、岡山大学は、耐硫酸性コンクリートの性能向上のため、日本全国の耐硫酸性コンクリート材料を収集し、比較試験を行っていた。ランデス社が岡山大学に鉄鋼スラグを用いたスラグコンクリートを持ち込み、耐硫酸性比較試験に供したところ、スラグコンクリートが最も高い耐硫酸性を発揮したことから、本材料の研究開発がスタートした。

2.技術の内容

 本技術は、セメントの一部に高炉スラグ微粉末を使用し、細骨材の全量に高炉スラグ細骨材を使用することで、高強度と耐塩害性、耐凍害性、化学的劣化およびそれらの複合劣化に優れるコンクリートを可能とした。高炉スラグ細骨材を細骨材の代わりに100%使用することで細骨材界面の緻密度が向上し、モルタル部分まで耐久性が向上することによりコンクリート全体の大きな性能向上につながるものである。本技術は、海洋環境、雪寒地域、温泉地帯など、塩害や凍害、硫酸劣化が想定される環境において、高耐久なコンクリート構造物を構築し、環境負荷を低減する技術である。また、従来の高耐久性コンクリート技術より費用対効果が高いことを特徴とする。

3.技術の効果

■ 耐塩害性5倍:緻密で高強度な素材であるため塩化物イオンの侵入を抑止する。
■ 耐凍害性4倍:緻密で高強度な素材であるため凍結融解に対する高い抵抗性を発揮する。
■ 複合劣化  :塩害と凍害が同時に発生する環境でも、構造物としての強度を維持する。
■ 耐硫酸性3倍:硫酸と反応し、高い侵食抵抗性を有した強固な表面皮膜を形成する。
■ 循環資源  :原材料として約50%の高炉スラグを使用する。
■ 低炭素   :高炉スラグを多く使用しているため約35% のCO2 排出を削減する。

4.技術の適用範囲

・ 本技術は粘性が高く場所打ちコンクリートでの施工は難しいため、プレキャストコンクリート専用になる。
・ 耐塩害、耐凍害、耐硫酸およびそれらの複合劣化に対する耐久性が必要とされる箇所に使用されるプレキャストコンクリート製品に適用する。

5.技術の適用実績

 関門航路(西側)土砂処分場護岸築造外1件工事、平成26 年5月〜平成27 年3月   他172 件

写真・図・表