JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第16回国土技術開発賞

地域貢献技術賞(国土交通大臣表彰)

アルミ合金を活用したシステム型枠工法 (第16回国土技術開発賞 地域貢献技術賞)

応募技術名称アルミ合金を活用したシステム型枠工法
副題工期短縮を可能にするALSP2(アルサップ)工法
応募者名森田建設(株)
技術開発者〔森田建設(株)〕飯田 尚樹
共同開発者ホリー(株)/フォームワークジャパン(株)/福岡大学工学部教授 稲田 達夫

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

2003年頃より九州地区においても超高層マンション・ビル等の大型プロジェクト工事が増加し、当社としても独自の施工方法・材料の検討を余儀無くされ、それに加えて木資材の高騰・不足・CO2排出量の削減等の問題点が出てきました。そこで当社は、独自に世界の型枠工法に視野を広げて、アルミ型枠工法に着眼し開発改善を重ね、「ALSP2(アルサップ)工法」を確立し、汎用性の高い柱・壁・土止め型枠システムの研究を重ね、現在に至ります。

2.技術の内容

本技術は建築工事に於いてアルミ型枠を活用するシステム型枠材料(図−1)+工法(図−2)です。写真−1で示す従来工法は上部作業となるのが一般的であり、本技術は写真−2で示す様に下部からの作業でスラブ型枠を構築できるため安全性に優れています。また、軽量化・耐久性及び写真−3の様にメンテナンスにより何度でも使用できるため転用回数にも優れており、ピン連結による図−3、写真−4で示す取り合い部で調整する事が出来るシステムであります。

3.技術の効果

本技術は、構成材料をアルミニウム合金とし、軽量化で高耐久性を確立し、現場作業員による組立て・解体及び運搬における作業負担を軽減することができ、ピン連結で簡素化・精度確保が出来るため型枠大工だけでなく、とび・普通作業員(未熟練工)等の混成チームの施工が可能で省人化ができ、昨今の労務職不足に対応できます。転用回数の増加は、現場管理においてコスト削減に大きな効果を発揮し、アルミ合金製であるため3R推進事業に適した材料となっています。

4.技術の適用範囲

@建築工事における「新築・改修」工事、土木工事における「床版・擁壁等」に適しています。
Aアルミ合金製で高耐久性を可能にした事で、あらゆるパーマネントシステム工法や柱・壁・型枠等に対応できます。
B階高の高い建築物においては、安全に作業をすることができます。また、水平に長い建築物であっても水平タクト工程において施工に適したシステム工法です。
Cスラブ型枠組立作業において、作業員の墜落転落災害の低減に大きく貢献できます。

5.技術の適用実績

(仮称)ラクレイス地行 新築工事、平成24年10月〜平成26年9月   他41件

6.地域への貢献

従来のスラブ型枠解体施工方法では、解体材料を落下させる事が作業騒音の原因となっています。本工法の特徴は、写真−5で示す様にシステム部材を各部品毎に解体することが出来るコンパクト且つ軽量な部材構成であるため、解体時の騒音の低減を図ることが出来ます。また、べニアレス型枠の採用に伴い、森田建設と福岡大学の構造技術・材料施工技術の産学連携による更なるALSP2(アルサップ)工法の技術のレベルアップを図り、地球環境対策におけるCO2排出量の削減、施工方法の簡素化、安全施工の確立、工期短縮を提供することにより、地域社会への貢献を実施しています。

写真・図・表

図−1【部材表】

図−2【スラブ・壁施工タイプ】  【支保工併用タイプ】  【SRC独立柱施工タイプ】

  • 写真−1【従来施工タイプ】
  • 写真−2【ALSP2工法施工タイプ】

写真−3【表面コーティング仕上げ】

図−3、写真−4

写真−5【スラブ型枠解体状況】