JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第15回国土技術開発賞

入賞 低改良率セメントコラム工法(ALiCC工法) 技術開発者 阪上最一 受賞コメント

第15回国土技術開発賞 入賞 低改良率セメントコラム工法(ALiCC工法)
技術開発者 (株)地圏環境テクノロジー 阪上 最一

受賞にあたって

 この度、思いがけず名誉ある国土技術開発賞を受賞できたことは、身に余る光栄であり、開発者の1人として大きな喜びであります。共同開発者の皆様に、また、ご支援いただいています“ALiCC工法”研究会の皆様に、厚く御礼申し上げる次第であります。

 “ALiCC工法“は、今から10年以上も前、(独)土木研究所(当時建設省土木研究所)がタイ道路局との“軟弱地盤改良“の共同研究において、タイの低改良率のセメントコラム工法にヒントを得て発案されたことに始まります。軟弱地盤に杭を打設し、その上に盛土すると盛土内で杭頭間にアーチ状の塊が生じ、その体積分だけ杭の盛土荷重負担が減ることに着眼したものです。これを原理とし、軟弱地盤に通常より大きなピッチでセメントコラムを打設しても、コラムが壊れない設計方法が考案されました。私は、具体的に地盤調査結果から設計する方法を考案し、その妥当性を施工事例から検証しました。そして、本工法を”ALiCC工法”と命名させても頂きました。

 一口に軟弱地盤といっても、場所によって条件が異なり、また、現場よっていろんな制約があるため、その対策工法には様々なものがあります。これに対して、“ALiCC工法”は、沈下を性能指標として、現場の条件や制約に応じ、沈下とそれに伴う側方変形を積極的にコントロールし対策を行うもので、都市部の条件が厳しい現場、なんとか工期を短縮したり、コストを抑えたい現場への適用が期待されています。


受賞後の動き

 これまで、全国で多数の“ALiCC工法”が採用され、徐々に実績を蓄積してまいりました。しかしながら、これまで経験していないような厳しい条件下での適用を想定し、その安心・安全確保のため、適用限界の明確化や、設計・施工において種々の改良が必要と思われます。今後、本工法の整備や研究開発を継続的に行う所存であります。