JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第7回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

スライドゲート (第7回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称スライドゲート
副題地盤改良を不要とした新しいシールド発進・到達工法
応募者名JFE建材(株)
佐藤工業(株)
技術開発者JFE建材(株) 佐藤修一
         鱒淵 健
佐藤工業(株)  福元福幸
         森山光雄

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 立坑からシールドを発進あるいは到達させる方法として、土留の開口位置背面を地盤改良して、その後土留壁を開口(鏡切り)する方法が一般的であるが、地盤改良の価格が高いこと、また安全信頼性上問題があること等、改善すべき課題が残されている。

 さらに近年の都市部におけるシールド工事は一層大深度化する方向にあり、経済的で安全信頼性の高いシールド発進到達工法の開発が望まれている。

2.技術の内容

 スライドゲート工法はアーバンリング立坑等のケーソン立坑において、シールド発進・到達用開口を組み込んだスライドゲートユニットを地上で土留内に組み込んで立坑を築造した後、ユニット前面にエントランスを設置し、ゲートを引上げることにより安全にシールド発進・到達を行う工法である。

  

写真 −2 シールド機到達

図−1 全体構造図

図−2 シールド発進手順

 

図−3 シールド到達手順

3.技術の効果

  1. コストの縮減:シールドの発進・到達防護の地盤改良工および付帯工を必要としないためコスト縮減が可能である。
  2. 工事工程の短縮:地盤改良工および鏡切り工が不要となるので、従来30日要していた作業が1日で完了したように工程短縮が可能である。
  3. 環境負荷の削減:地盤改良が不要となるので、地下水や周辺環境への汚染、また施工にともなう産業廃棄物が発生しないため環境負荷が削減される。
  4. 安全性・信頼性の向上:シールドの発進・到達時で特に安全性に注意を払う鏡切り作業が不要になるため、地山の開放状態が無くなり、安全性が向上する。
  5. 作業の簡素化:予め工場で製作されたスライドゲートを組み込んだユニットを運搬し、現地で組立て、シールドの発進・到達時にゲートを引上げるといった流れのように、現場での作業量は非常に簡素化された。

4.技術の適用範囲等

  • 適用立坑:ケーソン立坑
  • 適用シールド径:4m程度まで(実績が少ないので当面適用を限定)
  • 適用深度:50m程度まで(実績が少ないので当面適用を限定)
  • 路下施工等:分割タイプ適用により可

5.技術の適用実績

あかねケ丘支線新設工事 平成15年5月〜15年6月

台東区池之端三、四丁目付近再構築工事 平成16年8月〜平成16年9月