JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第7回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

地下鉄複線断面矩形シールドトンネル構築技術 (第7回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称地下鉄複線断面矩形シールドトンネル構築技術
副題縦6.5m×横9.9m矩形断面シールドマシン及び覆工の設計と施工技術
応募者名京都市交通局
鹿島建設(株)
技術開発者京都市交通局  久保田敏和
         古川 衛
鹿島建設(株) 溝田正志
共同開発者住友金属工業(株)
(株)クボタ
コマツ

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 京都市地下鉄東西線の始端駅となる六地蔵駅と石田駅との間、渡り線部を含めた線路部分に初の矩形シールドトンネル(幅9.9m、高さ6.5m、トンネル延長760m)を採用した。自動車交通量が激しい幹線道路と輻輳する地下埋設物による限定された地下空間にトンネルを収める関係で、一般的な円形断面等では対応が難しいことがその背景にあった。採用によって渡り線部と一般線路部との施工を一つのシールドマシンで可能となり、障害の一つでもあった開削区間(渡り線部)をなくすことができる。

2.技術の内容

 従来の円形に比べ扁平な覆工構造であるので、サンドイッチ型合成セグメント(渡り線部)、ダクタイルセグメント(一般線路部)共、実大要素実験及びリング戴荷試験を経て実用化した。一方掘削する砂礫地盤を対象とした矩形シールドマシンについても大ストローク(MAX:650mm)余掘り装置の実大要素試験、6軸制御エレクター、3連形状保持装置を開発製作し、約900tのマシンを六地蔵北坑にて現地組立て、計画掘進工程(5m/日)を達成し、到達後に実施したマシンの調査で耐久性に問題が無いことが確認できたことから、本矩形シールド技術は、十分実用に耐え得るレベルにあると判断できる。

写真−1 建設サイト(発進六地蔵駅側から到達石田駅を望む)

図−1 円形と矩形の比較

図−2 シールドトンネルの大断面化推移

3.技術の効果

 この矩形シールドトンネル構築技術については、(1)渡り線部が施工でき、開削区間をなくすことができる、(2)複線の円形に対し、計画縦断線形への対応が可能で、六地蔵駅も含めトンネル(軌道レベル)を約3m浅くできるので利用者の利便性向上に貢献できる、(3)駅も含めた事業費でコスト削減が見込める他、掘削土量の減少で環境への影響も低減できる。また、曲げが卓越するセグメント覆工の設計、施工法や大型化に伴い確実性、耐久性が要求される掘削機構等に対し新技術導入で課題を解決し、平成14年2月シールドは発進、同年11月無事に到達した。

写真−2 渡り線部の覆工構造(右下:一般線路部の覆工構造)

4.技術の適用範囲等

汚泥濃縮プロセスに重力濃縮法を適用している国内の処理場(1440カ所)に適用可能である。

5.技術の適用実績

西町下水処理センター濃縮槽機械設備工事、平成12年2月及び平成13年3月  他1件