JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第11回国土技術開発賞

優秀賞(国土交通大臣表彰)

鉄鋼スラグ水和固化体製人工石材(フロンティアストーン、フロンティアテック)・ブロック (第11回国土技術開発賞 優秀賞)

応募技術名称鉄鋼スラグ水和固化体製人工石材(フロンティアストーン、フロンティアテック)・ブロック
副題天然資源保護とCO2削減および海域環境改善を可能とするリサイクル材活用技術
応募者名新日本製鐵(株)
JFEスチール(株)
東亜建設工業(株)
技術開発者〔JFEスチール(株)〕松永 久宏・谷敷 多穂
〔新日本製鐵(株)〕高野 良広・篠崎 晴彦
〔東亜建設工業(株)〕田口 博文
〔九州大学大学院〕濱田 秀則

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

【背景】
  1. 抑制副産物の有効利用と環境負荷が少ない循環型社会の形成に向けたニーズの高まり
  2. 地球温暖化防止に資する施策・行動への社会的機運の高まり
【契機】
  1. 大規模埋立プロジェクトにおける良質な埋立材料の不足
  2. 海砂採取規制など、天然資源の具体的な採取規制の発動と強化

2.技術の内容

 骨材に製鋼スラグ、主な結合材に高炉スラグ微粉末を用い、水和反応により硬化させた鉄鋼スラグ水和固化体を開発し、主に港湾・空港工事において、準硬石相当の天然石代替材および無筋コンクリート代替材として活用した。鉄鋼スラグ水和固化体は、材料のほとんどが製鉄副産物で構成され、また製造過程で多量のCO2を排出するセメントをほとんど使用しないため、天然資源の保護と循環型社会形成への貢献、CO2排出量の削減に寄与できる。また、製鋼スラグなどに比べてアルカリ度が低いため、直接海中に投入しても環境への悪影響がない。さらに、製鋼スラグに含まれる鉄分などのミネラル成分の作用により生物付着性に優れ、海域環境の修復にも効果が期待できる技術である。

3.技術の効果

1.天然骨材の使用量ゼロ
これまでに石材代替材として41万m3、無筋コンクリート代替材として1.9万m3を施工した。これらの全ての施工において、天然骨材の使用量ゼロとした配合を設計・採用している。これにより削減された天然骨材の使用量は、約60万トンに及ぶ。


2.製鉄副産物を用いた良質な人工石材を製造する技術を確立
鉄鋼スラグ水和固化体の配合と粒度の調整により、次の性能をもつ良質な人工石材を具現化した。
●準硬石相当の強度と耐久性(スレーキング率)を有する。
●海水のpH上昇がほとんど無いため海中へ直接投入でき、埋立材利用では、締め固めレスで天然石と同等のせん断強度や長期圧縮沈下特性が得られ、かつ液状化もしない地盤が形成できる。
3.CO2排出量の削減(コンクリート代替として用いた場合のセメント使用量の削減効果)
鉄鋼スラグ水和固化体のCO2排出量は、普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートよりも76%減、高炉セメントB種を使用したコンクリートよりも60%減とすることが可能である。

4.技術の適用範囲等

1.石材代替:非液状化埋立材、裏込め石、傾斜護岸材、被覆石、漁礁用石材及び藻場着生用基材
2.無筋コンクリート代替:異型ブロック、根固方塊、漁礁ブロック、藻場ブロック、上部工など

5.技術の適用実績

東京国際空港D滑走路建設外工事(2008年5月〜2009年3月) 他20件

写真・図・表