受賞技術概要
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第14回国土技術開発賞
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- 第14回国土技術開発賞
地域貢献技術賞(国土交通大臣表彰)
ネコヤナギによる護岸の緑化工法 (第14回国土技術開発賞 地域貢献技術賞)
応募技術名称 | ネコヤナギによる護岸の緑化工法 |
副題 | ネコヤナギ・エコ工法 |
応募者名 | 松本技術コンサルタント(株) |
技術開発者 | 〔松本技術コンサルタント(株)〕帆足建八 |
技術の概要
1.技術開発の背景及び契機
これまで多くの護岸が構築されて来ているが、それらは無機質なコンクリート面の連続と単調化した河岸景観を呈すると共に、生態系にとっては極めて重要な水辺の生息環境等を喪失させている。
一方、その改善のための技術開発には多くの課題があり、これまで実用的な開発は手掛けられていなかった。当社では、このような現状に対して、大分県に設置された「魚にやさしい川づくり委員会」における淡水魚専門家の強い要望を契機として、平成20年1月に実用化を目指した試験施工(実際の護岸を利用した)に着手し、「コンクリート製護岸の水辺環境を改善する技術」として開発した。
2.技術の内容
本工法は、図-1に示すように既設のコンクリート護岸面に対して植栽孔を設けて、ネコヤナギの挿し木と竹ポットから成る構造体を挿入して植栽し、その成長による緑化・緑陰の創出と水中根の発生による水生生物等の生息環境の創出、滑落事故に対する安全対策等の機能を目的とする技術である。
3.技術の効果
1.技術開発の背景及び契機
これまで多くの護岸が構築されて来ているが、それらは無機質なコンクリート面の連続と単調化した河岸景観を呈すると共に、生態系にとっては極めて重要な水辺の生息環境等を喪失させている。
一方、その改善のための技術開発には多くの課題があり、これまで実用的な開発は手掛けられていなかった。当社では、このような現状に対して、大分県に設置された「魚にやさしい川づくり委員会」における淡水魚専門家の強い要望を契機として、平成20年1月に実用化を目指した試験施工(実際の護岸を利用した)に着手し、「コンクリート製護岸の水辺環境を改善する技術」として開発した。
2.技術の内容
本工法は、図-1に示すように既設のコンクリート護岸面に対して植栽孔を設けて、ネコヤナギの挿し木と竹ポットから成る構造体を挿入して植栽し、その成長による緑化・緑陰の創出と水中根の発生による水生生物等の生息環境の創出、滑落事故に対する安全対策等の機能を目的とする技術である。
3.技術の効果
緑化による河岸景観の改善機能
写真-1に示す緑の少ない環境に対して植栽施工した箇所では、3年目で写真-2に示す護岸全長に渡る繁茂状態となり、護岸面の約50%の緑化と水際の緑陰が創出され河岸景観が改善されている。
生態系の生息環境の改善機能
この改善は、陸域と水中域の両面に期待できる。陸域の機能は、写真-3に示す緑陰創出による昆虫類の蝟集(写真-4)と共に、落下昆虫や魚付き林の形成は直下の魚影の増加をもたらしている。
水中域の機能は、水中に伸長した枝に発生する水中根(写真-5)による効果が大であるが、水中根への珪藻類の付着(確認済)、それを餌とする多くの水生生物の生息(個体調査で確認)、それらを餌とする魚類の集り等(写真-6)であり、水中根の周囲は食物連鎖の環境が創出される。
護岸の保全並びに滑落事故への安全対策機能
水中根の影響は、護岸水際の流速を平水時で3割程度低減する効果もあり(確認済)、護岸基礎部の洗掘予防や流速の異なる生態系生息域の創出等が期待できる。また、河川の滑落事故対策としての利用(写真-7)も増加しており、天然素材活用という施設管理上の有利な面が評価されている。
4.技術の適用範囲
- ネコヤナギが自生している河川が原則。
- 感潮区域でないこと。
- 護岸勾配は穿孔作業が可能である範囲で、穿孔深さは50cm以下が原則。
5.技術の適用実績
事業名 :岩岳川環境改善業務委託 事業場所:福岡県豊前市大字下河内
事業者 :福岡県豊前土木事務所(現在:京築県土整備事務所に改称)
その他の適用実績 国土交通省(九州、中国地方整備局)・12事務所で15箇所 植栽本数541本 地方自治体(大分県、福岡県、熊本県)・10事務所で15箇所 植栽本数558本
6.地域への貢献
本工法の利用効果に対する事業関係者、学識経験者、内水面漁協等の高い評価から、第九回大分県ビジネスプラングランプリでの「優秀賞」の受賞、(社)日本工業技術振興協会のCTA技術評価表での「評価 B」(新規性、実現可能性、市場性においてかなり優れた技術である)の認定等が得られており、大分県内企業としても高く評価されると共に、今後の啓蒙活動に期待されている。