受賞技術概要
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第20回国土技術開発賞
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- 第20回国土技術開発賞
最優秀賞(国土交通大臣表彰)
ICTの活用による生産性向上を図る維持管理システム(第20回国土技術開発賞 最優秀賞)
応募技術名称 | ICTの活用による生産性向上を図る維持管理システム |
副題 | スマートインフラマネジメントシステムi - DREAMs |
応募者名 | 首都高速道路(株)/首都高技術(株) |
技術開発者 | 首都高速道路(株)土橋浩 首都高技術(株)安中智 (一財)首都高速道路技術センター 八ア弘昌 |
共同開発者 | (一財)首都高速道路技術センター/朝日航洋(株)/(株)エリジオン |
技術の概要
1.技術開発の背景及び契機
高度成長期以降に集中的に整備された構造物の高齢化が進むなか、生産年齢人口の減少に伴い、インフラの整備、維持管理、更新などを担う技術者の数が減少することが懸念されている。
このような状況に備え、インフラを確実かつ効率的に維持管理することを可能とし、持続可能な社会を実現するためにシステムを構築した。
2.技術の内容
本システムは、GIS(地理情報システム)プラットフォームにて、維持管理に必要な情報を統合するとともに、MMS(モービルマッピングシステム)による3次元点群データの取得とその活用、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の活用により、維持管理の生産性を大幅に向上するシステムである。このシステムを用いることで、“GISプラットフォームからの維持管理に必要な情報の迅速な検索”、“3次元点群データを用いたシステム上での現地調査や測量”、“3次元点群データからの構造物の変位や変状抽出”、“3次元点群データからの任意断面のCAD図や3D解析モデルの作成”、“AI エンジンの活用による構造物の劣化推定”等が可能となる。
3.技術の適用範囲
本システムは、道路に限らず、全てのインフラ構造物の維持管理に適用可能である。
4.技術の効果
- 必要な資料の収集から現場確認及び測量までシステム上で行うことが可能となり、維持管理の基本となる現場確認業務のリードタイムが、従来手法と比べて1/10 に縮減することができる。
- 3次元点群データをMMSで交通規制を行うことなく、道路を走行しながら取得し、輪郭線抽出機能を用いて図面を作成することで、図面作成業務のリードタイムが1/2 に縮減される。
- システム上の3次元空間で、現場状況を踏まえた設計や施工のシミュレーションを容易に行うことが可能となり、設計・施工の品質向上とともに大幅な効率化ができる。
- 3次元点群データによる構造物の定量的な変状の把握、AIエンジンによる構造物の劣化やその進展について推定することで、適時適切な補修が実現できる。
5.技術の社会的意義及び発展性
インフラの高齢化は管理者が抱える共通の課題である。mmsにより3次元点群データを取得し、図面を効率的に作成することで、現地調査時に必要であった交通規制の回数や規制時間を大幅に縮減でき、安全性の向上ならびに社会的損失の削減へ繋げることができる。
また、維持管理に用いる3次元点群データから自動運転用の基盤地図への活用や、他の管理者と3次元点群データを用いて情報を共有する等、コミュニケーションツールとしての活用が見込まれる。
6.技術の適用実績
道路維持管理の官民連携事業導入検討調査委託、平成29 年10 月〜 30 年3月 他2件