JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第19回国土技術開発賞

創意開発技術賞(国土交通大臣表彰)

アプリ「減災教室」(第19回国土技術開発賞 創意開発技術賞)

応募技術名称アプリ「減災教室」
副題防災・減災を「わかる」から「できる」へ
応募者名岐阜大学 教授 木 朗義、(一社)Do It Yourself 東 善朗
技術開発者岐阜大学 教授 木 朗義、(一社)Do It Yourself 東 善朗

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 災害への備えとして住民による自助・共助が重要である。一方、客観的リスク認知度(防災意識)と、 主観的リスク認知度(防災態度)との間にズレがあり、「わかっているが、できていない」ことが明らかになっ ている。必要な取り組みとして、「災害時対応から事前の備え(対処から予防)へ」を重視し、体験型の「減 災教室」に取り組んできた。教室での学びをもとに、受講後に向けた「やること宣言」を書いてもらうこ とにしたが、本当に実行されているかどうかわからない。しっかり行動を促す、あるいはフォローしてい くことができないかと考えたことが、誰もが日常的に持ち歩くスマートフォン向けのアプリ開発の契機で ある。

2.技術の内容

 人々の災害への備えを促すためアプリ「減災教室」を開発した。従来の意識啓発ツールや緊急情報の入 手アプリとの違いは、事前行動の実践を目的としている点で、主な機能は以下3点である。@テストに回 答する中で自らの課題を認識できる、A設問毎に取り組みの意義や具体的に実践するための情報が用意さ れている、B任意の項目について行動期限を設定でき、日常的に携帯するデバイスによるお知らせ機能が ある。

3.技術の適用範囲

  • iOS 8.2 以降とAndroid 2.3.3 以降の携帯電話端末と一部の音楽プレーヤーにて利用できる。
  • 日本語と英語の2言語に対応しており、端末の使用言語に応じて自動的に選択される。

4.技術の効果

 利用者数である4,194 名(iOS 版3,130、android 版1,064、2017.1.18 現在)に防災・減災の活動を促した。 災害への備えは、意義や方法を聞くだけでは自分の課題と認識されにくいが、テスト問題として接するこ とにより、利用者が自身の課題と認識する状態を創出した。また、これまで講座や訓練の機会のみにとどまっ ていた防災活動を、家庭での取り組みまで促すことができた。さらに、アプリを用いることで防災・減災 の促進を担い得る候補者が増大することが明らかになった。これらのことから、本アプリがより裾野の広 い防災活動の提案や実践に資すると言える。

5.技術の社会的意義及び発展性

 本アプリの社会的意義は、自分や地域でできることをいつでも確認でき、防災・減災に取り組む機会を 限定しないことで、防災に無関心な人々も含めて行動を働きかける点である。また、防災に関する専門家 や有資格者でなくとも、アプリを用いて自身や家庭、周囲の人に取り組みを促すことができる経路を創出し た意義も大きい。さらに、学校における防災教育でのニーズがあり、タブレット学習用ツールに再構築する ことで、より広範に防災・減災の行動を促すことができる。留学生や定時制高校に通う外国人利用者のフィー ドバックから、留学生や外国人労働者が学習でき、継続的に活用できる防災教育ツールとして発展させて いくことが可能である。

6.技術の適用実績

適用年月:平成28 年8月〜平成28 年12 月
事業名:平成28 年度高校生防災リーダー養成事業
事業者名:岐阜県教育委員会 他4件

写真・図・表