JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第18回国土技術開発賞

創意開発技術賞

吹付けモルタル・コンクリートのり面の補修・補強工法(第18回国土技術開発賞 創意開発技術賞)

応募技術名称吹付けモルタル・コンクリートのり面の補修・補強工法
副題老朽化した吹付け法面の再生技術「ニューレスプ工法」
応募者名日特建設(株)
技術開発者日特建設(株)  池田 淳、窪塚大輔

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 モルタル・コンクリート吹付け工は、自然斜面や道路などの切土のり面の風化防止を目的として数多く採用され、膨大なストックとなっている。近年、これらの吹付けのり面は、表面の経年劣化や地山自体の不安定化が進行しているものが多くなり、劣化部分をはつり取り、新たに吹付け工を行うなどの対策がとられている。しかし、このような方法では、大量のはつり取り殻が産業廃棄物となること、人力による危険作業が伴う事、はつり取り殻が通行車線に飛散しないよう大規模な仮設防護柵が必要になることなどの問題があった。これらを解決するため、吹付けモルタル・コンクリートのり面の補修・補強工法を開発した。

2.技術の内容

 本技術は、老朽化した既設のモルタル・コンクリート吹付けのり面をはつり取ることなく補修・補強する工法である。補強鉄筋工、背面空洞注入工、せん断ボルト工、水抜きパイプ新設工、のり面清掃工、繊維補強モルタル吹付け工の6つの要素技術を組合せ、吹付けのり面の健全性に応じた適切な対策を行う。

3.技術の適用範囲

 老朽化または劣化し、補修補強が必要な吹付けモルタル・コンクリートのり面。

4.技術の効果

 ・ 既設吹付モルタル・コンクリートのり面の効果が完全に喪失する前に補修・補強することによって、のり面を再構築(機能回復・向上)することにより、社会インフラの長寿命化を図ることができる。
 ・ 事業の計画や設計段階において、建設廃棄物の発生抑制対策の促進が可能である。
 ・ 従来技術と異なり、老朽化した吹付けモルタル・コンクリートのはつり作業がないため、作業者及び第三者への安全性が向上する。

5.技術の社会的意義及び発展性

 本技術は、社会全体の喫緊の課題である老朽化したインフラの補修・補強による長寿命化、建設リサイクル推進計画の重点施策である事業計画・設計段階における発生抑制対策に寄与するものであり、社会的意義が高い。既に日本全国で100件以上の施工実績があり、新しいのり面維持・補修技術として認知されているが、さらなる技術の普及により、安全・安心な国土づくりの一旦を担い、より一層社会に貢献するものと考えられる。

6.技術の適用実績

 国道25号中畑地区他防災対策工事 平成24年9月〜平成25年10月 他78件(3年以内実績)

写真・図・表