受賞技術概要
-
-
第2回建設技術開発賞
-
- 第2回建設技術開発賞
奨励賞(JICE理事長表彰)
ジャッキアップ回転架設工法 (第2回建設技術開発賞 奨励賞)
ミッション | 工事中または供用後の施設が発生する騒音、振動、水質汚濁などの周辺環境に与える外部不経済を軽減する |
応募技術名称 | ジャッキアップ回転架設工法 |
応募者名 | 株式会社巴コーポレーション 新日本製鐵株式會社 日本鋼管株式会社 川崎製鉄株式会社 住友金属工業株式会社 株式会社神戸製鋼所 株式会社巴技研 大阪大学 西村 宣男 横浜国立大学 宮田 利雄 横浜国立大学 山田 均 |
技術の概要
1.開発の背景と目的
山岳路線での橋梁建設においては、トンネルの存在など、前後の線形の制約から送り出し架設のための施工ヤードが確保できない場合がある。このような場合、鋼橋ではケーブルクレーン架設などが用いられることになるが、大掛かりな設備や工事用道路の整備が必要になるなど、経済性に難があり、この問題をクリアできる新しい架設工法の開発が望まれるところである。ジャッキアップ回転架設工法は、山岳部における鋼橋の架設のコスト縮減・合理化・省力化を可能にする新しい架設工法として開発した。
2.技術の内容
本工法は、工場製作された桁ブロックを現場に搬入した後、縦起こしする。その桁を順次橋脚の脇に設置したジャッキアップフレームに送り込み、鉛直に持ち上げて組み立てる(ジャッキアップ架設)。桁が所定の長さに達したところで、橋脚上に回転ピンを設置し、それを支点として、コンピュータ制御されるワイヤーを用いて桁をシーソーのように鉛直位置から水平位置に90度回転される。(回転架設)ジャッキアップ、回転の両工程とも、機械化施工により高所作業がほとんどなく、少人数で作業可能なため、工期短縮、安全性向上、省力化に適した工法である。
3.技術の効果
鋼橋の架設は、従来の高所での施工であるという概念が一般的であった。そこで、本工法は高所での架設という概念を大幅に改善し、低所での架設を可能とするジャッキアップ装置と回転装置、および制御システムを採用する事により、架設時の高所作業を大幅に低減し、現場作業員の安全性を飛躍的に向上させたものである。本工法の実施にてコスト比較では、送り出し架設工法と比較して、工期で88%に短縮し、工費も約10%縮減が計られた。
4.技術の適用範囲等
本工法は高橋脚を有する山岳橋梁の工事について開発を行った工法であり、下記に橋梁型式及び本工法の有利な条件を示す。
1)橋梁型式・鋼鈑桁(多主桁橋、少数主桁橋)・鋼箱桁
2)本工法の条件
- 橋脚高さが22m以上必要
- 橋梁先行施工の条件では下部工(橋脚・橋台)が施工できれば下部工ヤードから施工可能
- トラッククレーン架設と併用できる立地条件では安価なクレーンとの併用のコスト縮減が計れる。
適用実績 松山自動車道宿茂高架橋(鋼上部工)工事