JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第3回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

FSコンクリート (第3回国土技術開発賞 入賞)

ミッション建設廃棄物・環境汚染物質の発生の抑制、有効利用、リサイクルの促進を図る
応募技術名称FSコンクリート
副題天然の砂・砂利がゼロ、フライアッシュとスラグのみを使用したセメント固化体
応募者名(株)沿岸環境開発資源利用センター
技術開発者(株)沿岸環境開発資源利用センター 口田 登
                  堀井 昭宏
共同開発者国土交通省関東地方整備局横浜港湾空港技術調査事務所

技術の概要

1.技術開発の背景と目的

 コンクリートの細・粗骨材として使用されている天然の砂・砂利に代えて、産業副産物の中でも再生資源としてのリサイクル率の向上が期待されている製鋼(転炉)スラグや石炭灰(フライアッシュ)を活用し、コンクリートに類似する低コストな新タイプの固化体を開発し実用化することを目的として、平成7年から室内試験による応募技術の調査・研究に着手した。

2.技術の内容

 主要な技術課題は、製鋼スラグがもつ潜在的な膨張特性に起因するクラックの発生防止策を確立することであり、フライアッシュにその抑止効果があることを示す試験データが得られたので、国土交通省(前運輸省港湾技術研究所及び第二港湾建設局横浜調査設計事務所)の指導と民間各社(日立セメント及び日本鋼管)の協力を得て、室内試験データの蓄積及び評価・考察を行った。また、実海域での根固ブロックによる水中暴露試験(経時変化調査)を、平成9年から国土交通省(前運輸省第二港湾建設局鹿島港湾工事事務所)の協力を得て現在も継続実施中であり、良好なデータが得られている。更に、平成10年からは国土交通省(前運輸省第二港湾建設局鹿島港湾工事事務所)及び茨城県の協力で、現場における施工法及び施工管理技術の確立のための試験工事を行い、消波・根固ブロック、護岸及び防波堤上部工に関する約1万m3の施工実績データの蓄積を行っている。

3.技術の効果

 FSコンクリートは、天然の砂・砂利に代えてリサイクル材を活用するので、スラグ及びフライアッシュのメーカーとの供給条件が適合すれば、セメントコンクリートの施工コストの10〜15%のコストダウンが期待できると共に、循環型社会の到来をめざして、主要な産業副産物を天然資源の代わりに再生資源として有効活用できる波及効果は大きい。

 また、物理性状や力学特性について従来のセメントコンクリートと比較しても、長期強度の発現と共に耐久性・水密性・耐酸性等の面で良好な試験データが得られている。

4.技術の適用範囲等

 ストランド場所打杭工法は、路下や駅坑内などの作業で、空頭制限を受ける基礎杭施工において、高品質でトータルコスト低減を可能にしたことで高い評価をいただいている。

  1. 港湾・海岸を始め空港・河川等の分野の無筋コンクリート構造物に適用可能である。
  2. 使用するスラグ及びフライアッシュの品質管理を十分に行うとともに、配合試験によってFSコンクリートの性能を確認する。
  3. 凍結融解の恐れのある場合には、十分な品質及び性能の検討が必要である。
  4. 適用実績 鹿島港南防波堤根固ブロック製作工事、同中央防波堤上部工築造工事 他約10件