受賞技術概要
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第5回国土技術開発賞
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- 第5回国土技術開発賞
入賞(選考委員会委員長表彰)
SEW工法(Shield Earth Retaining Wall System) (第5回国土技術開発賞 入賞)
応募技術名称 | SEW工法(Shield Earth Retaining Wall System) |
副題 | シールド直接発進到達工法 |
応募者名 | (株)錢高組 積水化学工業(株) |
技術開発者 | (株)錢高組 深田和志 積水化学工業(株) 高田優 |
共同開発者 | 長岡技術科学大学 丸山久一 |
技術の概要
1.技術開発の背景及び契機
シールド工事において施工上重要な位置を占めるのがシールド機の発進・到達であるが、近年のシールドトンネルの大深度化に伴い、高水圧下での発進・到達が多く、その施工を取り巻く環境は年々厳しくなっている。従来のシールド機の発進・到達方法は、シールド機通過部分の地山を地盤改良したのち、土留め壁を撤去し、その後シールド機を発進・到達させる方法が一般的であった。しかし、大深度・高水圧下では地盤改良の施工精度および品質確保に限界があり、立坑内に地下水が流入することも懸念され、安全・確実なシールド機の発進・到達方法の開発が望まれている。SEW工法はこのような課題を解決することを目的に開発したものである。
2.技術の内容
立坑を構築する土留め壁のシールド機通過部分にFFU(Fiber reinfoRCed Foamed Urethane)部材を組み込み、この部材をシールド機によって直接切削し、発進または到達するシールド直接発進到達工法である。
FFU部材は、硬質発泡ウレタン樹脂をガラス長繊維で強化した厚さ25〜30mmの板状のFFU材料をエポキシ系接着剤で圧着接合して形成したものであり、主に鉄道の枕木として使用されている。本部材は、立坑掘削時の土圧・水圧に抵抗できるとともに、シールド機のカッタービットによってビットが摩耗することなく切削できるものである。
3.技術の効果
SEW工法は従来の地盤改良方法に比べて次の効果を有する。
- 人力または機械による土留め壁の取り壊しを行わないので、大深度・高水圧下でも安全・確実にシールド機の発進到達が可能となる。
- コスト面では約10〜20%の低減を図ることができる。
- 良質地盤(砂質土でN値約15以上、粘性土でN値約5以上)では地盤改良が不要なため工期短縮につながる。
- FFU部材は切削性が良いのでシールド機のカッタービットの摩耗がない。
- FFU部材切削時の振動・騒音が発生しないので環境に優しい。
4.技術の適用範囲等
土留め壁の種類:柱列式連続壁、鉄筋コンクリート地中連続壁、ケーソン
掘進機 :シールド機、推進機
掘進機の断面 :円形、矩形、楕円形など任意断面
シールド直径 :8〜10m以下(地盤条件によって多少変化する)
5.技術の適用実績
京都市高速鉄道東西線 二条城前駅出入口(2)建設工事 平成9年7月〜平成11年1月 他37件