JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第7回国土技術開発賞

入賞(選考委員会委員長表彰)

スーパーパフォーマンスコンクリート (第7回国土技術開発賞 入賞)

応募技術名称スーパーパフォーマンスコンクリート
副題高性能多機能コンクリート
応募者名(株)熊谷組
技術開発者(株)熊谷組 佐藤孝一

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 コンクリートは、鋼材とともに主要な建設材料であり、より良い品質のコンクリートを得るために種々の技術開発が行われてきた。しかしこれらの技術開発で得られたコンクリートについても、それぞれ長所・短所があるのが現状であり、高いレベルで多機能性を備えたコンクリートは困難とされていた。

 一方、建設工事における新工法の開発や施工条件の複雑化に伴い、コンクリートに求められる性能は高度化してきており、現在使われているコンクリートのより一層の高性能化、高機能化の要求が高まっている。そこで高性能・多機能なスーパーパフォーマンスコンクリートの開発を行った。

2.技術の内容

 スーパーパフォーマンスコンクリートは、高強度、高流動、早強性、セルフレベリング性、フレッシュ保持性、水中不分離性など様々な性能を同時に実現可能なコンクリートである。

 従来の水中不分離性コンクリートでは、増粘剤の使用により凝結の遅延、ポンプ圧送性の低下、流動性(セルフレベリング性)の不足が発生し、高流動コンクリートでは、フレッシュ保持性の不足、水中不分離性が無い等の問題が生じる。スーパーパフォーマンスコンクリートは、フレッシュ保持性を4時間を実現した上で材齢1日で15N/mm2の初期強度発現が可能、今までにない優れた自己充填性とセルフレベリング性、高い水中不分離性等を同時に満たす高性能多機能なコンクリートである。

表−1 スーパーパフォーマンスコンクリートの多機能性

 

写真−1  スランプフロー                 写真−2 水中不分離性とセルフレベリング性

3.技術の効果

 スーパーパフォーマンスコンクリートは下記のような機能を同時に実現可能とした。

・コンクリート練り上がりの性状を4時間まで保持
・上記のフレッシュ保持性能とともに材齢24時間圧縮強度15N/mm2まで実現
・高流動性と最終流動勾配5%のセルフレベリング性を実現
・水中不分離コンクリートと同等以上の水中不分離性を実現
・高いポンプ圧送性と閉塞抵抗性
・市中のレディーミクストコンクリート工場で製造可能
・設計基準強度70N/mm2まで適用可能

図−1 フレッシュコンクリート経時保持性

図−2 強度発現

4.技術の適用範囲等

 スーパーパフォーマンスコンクリートはシールドトンネルの直打ち工法、トンネル裏込めコンクリート、水中不分離コンクリート、場所打ちコンクリート杭、橋脚基礎工事、護岸工、ケーソン底版工のほか、トンネル・橋梁・建築物の補修・補強等に使用が可能である。

5.技術の適用実績

東北幹、三本木原T他工事、平成16年7月〜平成18年8月   他2件