調査報告・研究成果 / 国際協力活動
第18回 日・韓建設技術セミナー開催報告
開催経緯
JICEは、日本と韓国の建設技術の交流及び発展を図り、さらには両国の友好と親善に寄与すべく、建設技術の調査研究・普及を通じて社会資本整備に貢献する共通の目的を持つ韓国建設技術研究院(以下、KICT)と建設技術交流を実施していますが、この建設技術交流の一環として1990年から毎年継続して日・韓建設技術セミナーを開催しています。今回は18回目となるセミナーを日本で開催しました。
セミナーの概要
第18回 日・韓建設技術セミナーは、去る平成19年9月4日(火) 虎ノ門パストラルで開催しました。 セミナーは、発表課題6課題、基調講演1課題、パネルディスカッション1課題を終日同時通訳で実施しました。 パネルディスカッションでは、「入札契約制度の改善に関する取り組み」「工事等事業管理(監督検査)に関する取り組み」などを論点に意見交換が行われました。
第18回日・韓建設技術セミナープログラム
<開会式>
- 挨 拶 の 辞 大石 久和(JICE 理事長)
- 祝 辞 鄭 楽 亨(KICT 院長)
- JICE発表者紹介 的場 純一(JICE 審議役)
- KICT発表者紹介 柳 海 雲(KICT 対外協力室長)
- JICE事業概要 的場 純一(JICE 審議役)
- KICT事業概要 柳 海 雲(KICT 対外協力室長)
<発表課題>
- 第1課題 「新たな住宅政策にもとづく地方での取り組みについて―長崎県住宅マスタープラン策定調査 ―」
発表者:坂田 昌平(JICE研究第一部 主任研究員) - 第2課題 「リアルタイムな公共交通乗り換え情報(TAGO)の需要とサービスについて」
発表者:文 炳 燮(KICT先端道路交通研究室 先任研究員) - 第3課題 「神奈川県における交通安全見える化プランの実践」
発表者:平澤 哲(JICE調査第二部 首席研究員) - 第4課題 「国道における交通事故の削減に向けた実践計画」
発表者:(KICT道路研究室 先任研究員) - 第5課題 「直轄・補助区間の安全度バランス評価手法に関する研究」
発表者:庄司 強(JICE調査第一部 主任研究員) - 第6課題 「韓国河川の物理的及び生態的な特性に関する研究」
発表者:李 斗 漢(KICT河川・海岸研究室 先任研究員)
<基調講演>
- 「日本における品質確保の取組と課題 ― 発注者責任に関する懇談会の取組 ―」
発表者:小澤 一雅(東京大学大学院工学系研究科 教授)
<パネルディスカッション>
- 「最適な事業者等の選定及び適切な役割分担による公共事業の品質確保を探る」
- コメンテータ:
小澤 一雅(東京大学大学院工学系研究科 教授)
JICE側パネリスト:
丹野 弘(JICE研究第二部長)
相田 浩伸(JICE研究第二部 上席主任研究員)
KICT側パネリスト:
(KICT建設管理研究室長)
朴 煥 杓(KICT建設管理研究室 先任研究員)
- コメンテータ:
<閉 会>
各発表の要旨
※一部を除き発表論文をダウンロードすることができます。
※基調講演は講演用の発表資料がダウンロードできます。
※韓国側の翻訳はJICEが責任を負います。
<課題発表>
- 第1課題「新たな住宅政策にもとづく地方での取り組みについて‐長崎県住宅マスタープラン策定調査‐」
住生活基本法の制定などの情勢を踏まえ、既存の長崎県住宅マスタープランを改定するにあたり検討した内容である、地域特性や住宅事情から整理した住宅政策上の課題、政策の基本的な方針、具体的な施策及び成果指標について発表した。 - 第2課題「リアルタイムな公共交通乗り換え情報(TAGO)の需要とサービスについて」
KTX、高速バス、航空機などの地域間を結ぶ交通手段と、市内バス、地下鉄など地域内の交通手段への乗り換え交通情報の提供を通した輸送効率及び国民の利便性増進確保のための公共交通事業管理体系の構築について発表した。 - 第3課題「神奈川県における交通安全見える化プランの実践」
成果(アウトカム)重視の道路行政マネジメントの一環として、施策の選択肢を国民に示し、国民との協働により効果的事業展開を現場レベルで図る「道路見える化計画」の具体的実践事例として、神奈川県の交通安全対策について発表した。 - 第4課題「国道における交通事故の削減に向けた実践計画」
国道における交通事故減少に向けた国道安全改善事業などの推進を含んだ安全戦略及び道路交通安全実践計画の策定過程などについて発表した。 - 第5課題「直轄・補助区間の安全度バランス評価手法に関する研究」
歴史的な改修の結果として存している河川の水系全体としての治水安全度を評価し、今後の河川整備の方策に向けて検討した内容と結果について発表した。 - 第6課題「韓国河川の物理的及び生態的な特性に関する研究」
韓国における中小河川の河床材料と物理構造、生態について調査を行い、その結果に基づいて河床材料を中心に河道の物理的な特性について分析した結果及び河川の特性を構成する無生物的な環境因子と出現生物との相関性について発表した。
<基調講演>
- 日本における品質確保の取組と課題‐発注者責任に関する懇談会の取組‐
国土交通省直轄事業の建設生産システムに関する実態に基づき、発注者責任の観点から、建設生産システムのあり方及び諸課題への対応方針について検討された「国土交通省直轄事業の建設生産システムにおける発注者責任に関する懇談会」の内容を中心に発表した。
<パネルディスカッション>
- JICE側発表「総合評価落札方式の運用及び改善に関する調査研究」
公共工事において近年急激に実施例が蓄積されてきた総合評価落札方式の活用促進を図ることを目的に、国土交通省発注工事における実施状況の整理・分析を行った結果などについて発表した。 - KICT側発表「公共事業における責任監理と建設事業管理(CM)の役割の確立による今後の中長期発展のあり方」
建設産業の環境と建設工事の管理体系の変化の中で、責任監理と建設事業管理(CM)制度の制度環境と条件の変化を予測すると共に、責任監理制度の構造変化を展望し、責任監理と建設事業管理産業の競争力向上と発展のあり方について発表した。