JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞技術概要

建設分野の新技術への挑戦

    • 第10回国土技術開発賞

優秀賞(国土交通大臣表彰)

新石綿除去システム (第10回国土技術開発賞 優秀賞)

応募技術名称新石綿除去システム
副題無機系粉じん飛散抑制剤とドライアイスブラスト処理による石綿除去及びリアルタイム環境測定システム
応募者名(株)大林組
技術開発者〔(株)大林組〕杉山 直・堀 長生

技術の概要

1.技術開発の背景及び契機

 1970年代後半まで石綿は耐火被覆材や吸音・断熱材などに多用されてきたが、人体への有害性が指摘され大きな社会問題となっている。現在、当時建設された建物が解体やリニューアルの時期を迎え、2005年7月1日付けで「石綿障害予防規則」が施行されたことに伴い、石綿対策工事の増加が中長期間に及ぶと予想された。そのため、安全・安心を第一に環境配慮に資する石綿対策技術として、各要素技術を連携させた総合的な「新石綿除去システム」の開発に着手した。

2.技術の内容

 新石綿除去システムは、先ず珪酸塩(特殊水ガラス)を主成分とする浸透性の高い無機系粉じん飛散抑制剤「ニューダイロック・」を使用し除去作業時石綿が飛散しないように湿潤化後、続く除去工程では固い粒状のドライアイスペレットをショット材に使用したドライアイスブラスト「ハイカット工法・」により、人の手作業では除去しきれなかった残留石綿や狭隘な箇所の石綿を完全に除去可能とした。除去後の廃石綿はハンドミキサーなどの汎用工具で粉砕後、吸引圧縮して減容化を行う。また、作業現場周辺の石綿粉じん濃度を24時間連続してリアルタイム計測できるシステムを構築し、異常があった際に迅速な対応が取れるよう安全性の確保を重視している。

3.技術の効果

【工期短縮】在来工法に比べ作業効率を2〜5倍スピードアップ。

【施工安全性の向上】無機系粉じん飛散抑制剤により除去時の石綿の飛散を抑制し、ドライアイスブラストにより狭隘な箇所等の石綿を完全に除去。リアルタイム環境測定システムにより24時間連続で石綿粉じん濃度をモニタリングし現場周辺の作業環境の安全性を図った。

【環境負荷低減】無機系粉じん飛散抑制剤を使用することでVOCの排出をゼロとした。また、廃石綿の減容化により処分場までの運搬トラックの台数を競らしCO2排出量の低減を可能とした。

4.技術の適用範囲等

1.体育館、ホール、工場などの大空間の石綿除去に優れている。
2.エレベータシャフトなどの特殊な空間の石綿除去に優れている。
3.機械室など配管や機械が複雑に設置された狭隘な箇所の石綿除去を得意とする。
※各要素技術は個々に在来工法(皮すきによるケレン+ブラッシング)と組み合わせて利用することも可能である。

5.技術の適用実績

国立代々木競技場施設整備工事(第一・第二体育館アスベスト除去工事)
平成18年11月〜平成19年5月  他8件

写真・図・表