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技術資料・ソフトウェア / JICEの部屋(コラム)

公益法人をめぐる状況 〜受託業務にかかる契約方式の変遷と現状〜

掲載日時:2010/11/09

はじめに

 公益財団か一般財団か、公益法人制度改革に基づく新たな公益法人への移行問題をはじめとして、政府系公益法人にかかる事業仕分けの実施と横断的な見直しなど、公益法人を取り巻く状況は、大きな変革期を迎えている。

 このような中で、JICEの受託業務、いわゆる建設コンサルタント業務等にかかる契約方式についても、近年、多くの変更が行われている。長らく、一般競争、指名競争、随意契約という会計法令上の契約制度に慣れ親しんできた者にとっては、なかなか馴染みにくい方式に移行してきている。

 そこで、建設コンサルタント業務等にかかる契約方式の変遷と現状、並びに電子入札手続きについて、JICEにおける受託事例も踏まえながら紹介することとしたい。

建設コンサルタント業務等の契約方式の変遷

 建設コンサルタント業務等(建設コンサルタント業務及び役務の提供)の契約方式については、談合批判の高まりにより見直されてきた公共工事の契約方式に遅れて、数年前より新たな方式の在り方に関する取り組みがはじまった。

 国土交通省関係の業務において、公益法人が行っている受託業務については、従来、業務の性格上、原則として、公益法人のみが行うことが妥当との考えから、特命随意契約方式で行われてきた。ところが、随意契約批判を受け、平成18年度後半から「公益法人が行うことが妥当であると思われるが、民間コンサルタント等においても業務を行うことが可能なところがあれば参加を募る。」として、公益法人名を特定したうえで、民間コンサルタント等に参加要請をする「確認公募型契約方式」が試行され、平成19年度に本格的に導入された。

 しかしながら、この確認公募方式も、実際には民間コンサル等の参加はほとんどなく、事実上競争性のない随意契約ではないかと再び批判を受け、平成19年度後半からは、試行的に技術提案によって受託者を決定する「企画競争」等の方式が導入され、平成20年度からは、本格的に新たな契約方式がスタートすることとなった。

現在の契約方式

 現在、国土交通省関係の業務において採用されている受託者決定方式(「電子入札システム」上の入札契約方式)には、@ 一般競争入札、A 通常型指名競争入札、B 公募型競争入札、C 簡易公募型競争入札、D 公募型プロポーザル方式、E 簡易公募型プロポーザル方式、F 標準型プロポーザル方式、G 企画競争方式、H 随意契約の9方式がある。

 JICEにおいて、平成20年度以降実績のある契約方式には、簡易公募型競争入札、公募型プロポーザル方式、簡易公募型プロポーザル方式、標準型プロポーザル方式、企画競争方式があるが、簡易公募型プロポーザル方式及び企画競争方式の割合が多い。

(1)「公募型競争入札」及び「簡易公募型競争入札」は、参加表明後、選定・非選定の通知(指名基準に基づく入札参加者の指名)があり、入札を行う方式である。公募型は政府調達(WTO)対象業務(6,900万円以上)を対象とし、簡易公募型はそれ以外を対象としている。

 建設コンサルタント業務等においては、価格競争以外の要素(品質)も考慮した「総合評価落札方式」が平成21年度より試行され、本年度より本格的に導入する見込みとされている(会計法上は、一般競争又は指名競争に付する場合において「価格及びその他の条件が国にとって最も有利なものをもって申込みをした者を契約の相手方とする」落札者決定方式とされている。)。

 なお、総合評価落札方式には、発注者が提示する実施方針以外に技術提案を求める「標準型」と技術提案を求めない「簡易型」があり、品質向上が期待できる業務については標準型を採用することとされている。

 JICEにおいては、「簡易公募型競争入札(総合評価落札方式)」として公募が行われた事例があり、参加表明、指名通知及び技術提案の提出の後、技術審査を経て入札が行われ、技術点と入札金額を点数化したものの合計点で受託者が決定される「総合評価落札方式」による手続きとなっている(技術点は、点数が上位の競争参加者の間ではそれほど大きな差になることはないようであり、事実上、入札金額によって決定されることが多いのではないかと思われる。入札金額が調査価格となることも少なくない。)。

(2)「 公募型プロポーザル方式」と「簡易公募型プロポーザル方式」は、参加表明、技術提案書提出者の選定通知(3〜5社程度選定)及び技術提案書の提出の後、技術点が最上位の者が特定され、受託者となる方式である。公募型プロポーザルはWTO対象業務を対象とし、簡易公募型プロポーザルは5,000万円以上WTO対象未満の業務を対象としている(現在は、簡易公募型を5,000万円未満にも拡大適用。)。

 「標準型プロポーザル方式」は、前記公募型プロポーザル及び簡易公募型プロポーザルとは異なり、参加表明を提出することなく、発注者において参加者選定(指名)後、技術提案を行い、受託者が決定される方式である(JICEにおいては、5,000万円未満の業務における適用事例有り)。

(3) 企画競争方式は、平成20年度より本格的に導入された新たな契約方式であり、「役務の提供等」を対象業務とする方式である。主に本省庁で行われている方式で、参加表明が省略されており、上記でいう参加表明、技術提案が一体となった企画提案を提出することとし、その評価点が最上位の者が受託者として決定される方式である。

電子入札システム

 地方整備局で行われている契約に関する手続きは、現在はほとんど全て電子入札システムで行われており、業務の説明書の入手から業務内容への質問・回答、参加表明、選定・非選定通知、技術提案、特定・非特定通知、入札・決定までをシステム上で行っている。

 電子入札システム導入以前の入札(見積)は、全て発注官署に出向いて行う必要があったが、居ながらにして全ての手続きを行うことができる本システムは、まさに画期的なシステムといえよう。特に、全国の発注官署を対象として業務を行うJICEにとっては、極めて有用である。

 しかし、システムそのものは、地方整備局、国土技術総合研究所、北海道開発局、沖縄総合事務局すべて同じであるが、その運用はそれぞれ独自の方法で行われている。例えば、質問・回答の通知の有無や参加表明と技術提案の同時提出の要請、見積書の紙ベースでの提出要請の有無などについて、受託者は、それぞれの方式に合わせた対応が必要になっている。習熟さえすればそれほど問題はないとは思われるが、初めて担当する者にとっては、極めて困難であり、間違いは許されない実情を考えれば、運用の統一が望まれる(提出期限や提出内容、運用方式等を間違えればシステム上で行っているため即刻失格となる)。
また、法人内のシステム管理も重要である。システム障害も希ではあるが生じるため、システムに習熟した人材が常駐していることが必須の条件になる(システム障害が発注者の問題でない限り、そのことを理由とした救済は行われず、失格になることがある。)。

むすび

 建設コンサルタント業務等にかかる契約方式は、この数年めまぐるしく変化してきている。
 新方式の導入により、入札段階では、公益法人と民間コンサルタント等との区別はなくなり、個々の調査研究について、行政補完その他公益事業を公正・中立的な立場で行う調査研究機関としての公益法人が実施することが相応しいものかどうかは、受託者決定の段階で、事後的・間接的に明らかにされることとなった(このような契約方式と公益法人が設立された趣旨との整合性は、事例が積み重なる中で、結果的に図られていくと理解されるべきものであろうか。)。
 また、手続き面においては、上述のとおり、各発注者が独自の運用方法を用いて実施しているのが現状である。公益法人に限らないが、受託者にとっては、必ずしも十分な情報が与えられない場合もあり、担当者は常に細心の注意を怠らないことが求められている。

( 内藤 勉 )