• JICEについて
  • 調査報告・研究成果
  • 助成・表彰・審査制度
  • 技術資料・ソフトウェア
  • 国土を知る

技術資料・ソフトウェア / JICEの部屋(コラム)

まちの核心部はどのようにあるべきか

掲載日時:2014/10/22

はじめに

まちの中で最も人が集まる場所はどのようにあるべきでしょうか。
一般的には中心部(中心市街地)と呼ばれている場所についてです。
中心部には市役所があり学校があり病院があります。従って人が集まる空間です。そこには商業施設があればよいのでしょうか、交通施設(駐車場、鉄道駅、バス停など)があればよいのでしょうか、どのような空間にすべきでしょうか。
ここでは徹底的に人のための空間にした事例を紹介します。

人のための空間

「人優先の空間」ではなく「人のための空間」というものがあります。
トランジットモールやアーケードというレベルではありません。それらは本来の機能に加え、公共交通や歩行者のための機能を高めたものです。
姫路市では姫路駅前を人の集まる広場空間としました。イベント、展示場、オープンカフェ、発表、コンサート、踊り、・・市民の発意で何でも自由自在なことができます。しかも特定のイベント期間ではなく1年中です。大阪万博の際の「お祭り広場」的空間を持ち込んだわけです。
何にも邪魔されない、何にも規制されない自由な空間。人が楽しく快適に過ごすことができる安全で潤いある空間。これが駅前という一等地に確保されました。

  • オープンカフェ

    オープンカフェ

  • イベント

    イベント

  • キッズダンスコンテスト

    キッズダンスコンテスト

  • コンサート

    コンサート

  • 雑貨市

    雑貨市

  • 祭り

    祭り

(写真はいずれも姫路市HPより)

まちづくりは全てが関連

駅前に人のための広場空間を確保したのは単なる思いつきの取り組みではありません。ましてやそこにスペースがあったから利用してみたというような単純な理由ではありません。まちづくりの全体構想として駅前を人にとって快適な空間にするという明確なコンセプトがあったのです。
ヨーロッパにおいては協会を中心とした広場があり、LRTが走るトランジットモールという人優先の空間があります。
姫路においては駅前に人の快適性・安全性を追求した広場空間をつくり、そこからトランジットモール、アーケード、地下街、歩行者デッキ、鉄道高架下自由通路などの人優先の施設を手足のように周辺市街地へ伸ばしています。
そこで中心部の道路整備もしっかり行っています。具体的には都心環状道路を整備し、駅前の核心部から交通を分散させています。
まちづくりはすべてが関連しているセットものなのです。

これまでの経緯

昭和62年 環状道路網、都心部の通過交通抑制の構想
平成20年 関係各種団体による「姫路駅北駅前広場整備推進会議」設置
平成21年 基本レイアウト作成(都心環状道路、大手前通り一般車通行制限他)
平成25年 整備された広場において多目的利用開始

整備内容
  • 整備設計図

    整備設計図

  • レイアウト図

    レイアウト図

  • 都心環状道路

    都心環状道路

(写真はいずれも姫路市HPより)

駅前に人のための広場空間を確保したのは単なる思いつきの取り組みではありません。ましてやそこにスペースがあったから利用してみたというような単純な理由ではありません。まちづくりの全体構想として駅前を人にとって快適な空間にするという明確なコンセプトがあったのです。
ヨーロッパにおいては協会を中心とした広場があり、LRTが走るトランジットモールという人優先の空間があります。
姫路においては駅前に人の快適性・安全性を追求した広場空間をつくり、そこからトランジットモール、アーケード、地下街、歩行者デッキ、鉄道高架下自由通路などの人優先の施設を手足のように周辺市街地へ伸ばしています。
そこで中心部の道路整備もしっかり行っています。具体的には都心環状道路を整備し、駅前の核心部から交通を分散させています。
まちづくりはすべてが関連しているセットものなのです。

人のための空間確保とそれを支えるインフラ整備

姫路駅周辺地区に見る特徴と論点としては以下のことがあげられます。
<姫路駅周辺地区における特徴と論点>
@まちの核心部は徹底的に人のための空間とすること
Aその周辺部は可能な限り人優先の空間とすること
 アーケード、トランジットモール、歩行者デッキ、自由通路、コミュニティサイクル、・・
B関連するインフラ整備を行うこと

人が来やすくする、集まりやすくする、そのためのインフラ整備が重要です。

1.連続立体交差事業と道路整備

連続立体交差事業を実施するとともに、それにあわせて市街地の南北道路を複数整備し、
道路機能を抜本的に強化しました。
人のための空間を整備するだけでなく、都市全体として道路機能を強化し交通を円滑化させています。

2.都心環状道路

駅前の核心部に通過交通が入らないよう都心環状道路を整備しました(一部整備中)。しかもダブル(2重)ループです。これによって姫路駅前のエリア(駅前の核心部)を人にとって安全で快適なゾーンとすることに大きく貢献しました。

3.駅前広場整備

国内でも有数の広さの駅前広場を整備しました。姫路駅を降りると展望デッキが設置されており、そこから世界遺産姫路城を正面に望むことができます。
 一般的に「駅前広場」と言えば、バス、タクシーがたくさん停まっている交通ターミナルを想像しますが、姫路の場合には、人が来て楽しい時間を過ごす「まちなか広場」を駅の前に整備したのです。

  • 芝生広場

    芝生広場

  • サンクンガーデン

    サンクンガーデン

  • 芝生広場

    芝生広場(地下は耐震貯水槽)

(写真はいずれも姫路市HPより)

4.官民の連携

このような多様な機能を持つ駅前広場を整備したのですが、公有地だけでは面積が不足したため、民有地も利用しました。具体的には駅前広場に隣接するビルの1、2階部分をバスターミナル等の一部として利用しました。なお、施設を重複させるという意味では、虎ノ門ヒルズと一体的に整備された環状2号線なども類似した事例です。

さいごに

 全国の各都市において「広場」や「空き地」は存在します。そして、まちなか広場として様々に利用されているケースがあります。行政が利用することもありますし、地元自治会やNPO等が利用することもあります。正月にはもちつき大会を行い、夏にはやぐらを組んで盆踊りを行う、あるいはバザーやカフェといった様々な活動が行われています。適当な広場が無い場合には道路がイベント時に活用されている事例もあります。広場は人々の交流の場となり、地域へ愛着を持つことにもつながります。

 いずれにしてもとしないの空間を如何に快適・安全で魅力的なものにするかということは、そこに生活する者から見れば非常に重要な視点であると考えられます。

 特に中心部において都市空間をどのように作り上げるのか、どのように活用するのかということは都市の賑わいや潤いに大きく影響します。今一度、都市空間のあり方を真剣に議論する必要があるのではないでしょうか。

 今後、本格的な人口減少社会を迎えていく中、全国の都市において少しでも人口を維持し、活力を高めていくために、様々な取り組みがますます盛んになっていくことが望まれます。

(及川 理)