JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第12回国土技術開発賞

優秀賞 ジャケット式桟橋の長期防食システム 技術開発者 阪上精希 受賞コメント

第12回国土技術開発賞 優秀賞 ジャケット式桟橋の長期防食システム
技術開発者 新日鉄エンジニアリング(株) 阪上精希

受賞にあたって

この度は優秀賞をいただくことになり、身に余る光栄であります。

 私は、主に、耐海水性ステンレス鋼ライニングについての、性能評価、生産技術開発、及び、羽田空港D滑走路工事における、安定品質・大量連続高速生産、の実現に取り組んできました。

 今回の受賞は、先輩諸氏の長年の開発・改善へ向けた懸命な努力、羽田JV関係者の方々のご協力、技術提案を評価していただいた国土交通省の方々の懇切丁寧なご助言、のおかげであります。改めて感謝の意を表します。

 耐海水性ステンレス鋼ライニング工法は、ステンレス鋼の溶接性の良さを利用して、海洋・港湾構造物の干満飛沫帯の鋼構造部材の表面に耐食性に優れた薄膜ステンレスを巻き付けて溶接接合することにより、鋼表面を完全に外部環境から遮断し、長期耐久性を確保するものです。

 耐海水性ステンレスライニング材料は製鉄所にて生産され、その品質は、元来、極めて信頼性の高いものです。

 また、薄膜ステンレスライニングの溶接接合については、

@ 薄膜溶接用のインダイレクトシーム溶接+プラズマ溶接の複合自動溶接法の開発
A ライニング巻きつけ精度の向上、溶接前の鋼表面処理の自動化、による溶接条件の安定化
B リークテスト法による品質保証要領の確立
C 溶接部の溶接後表面研磨処理法の確立による熱影響部の耐食性低下の回避
によって、薄膜ライニング材を用いた高能率施工法を確立し、施工コストの低減、安定品質、安定性能の確保、が可能となりました。
 今後も、耐海水性ステンレス鋼ライニング技術の適用を通じて、海洋・港湾鋼構造物等厳しい腐食環境にさらされる鋼構造の、長期耐久性の確保、ライフサイクルコストの低減、に貢献していきたいと思います。

受賞後の動き

 今回の受賞を励みとして、耐海水性ステンレス鋼ライニング法についての、更なる施工コスト削減に向けた、溶接施工法を主とした生産技術の改善・改良、に取り組んでいきたいと思います。