JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第13回国土技術開発賞

優秀賞 連続SSRT 技術開発者 丹羽廣海 受賞コメント

第13回国土技術開発賞 連続SSRT
技術開発者 (株)フジタ  丹羽 廣海

受賞にあたって

 このたびは、名誉ある国土技術開発賞・優秀賞を賜りまして大変光栄に存じます。本技術の開発、実用化にあたっては、社内外の多くの方々からのご理解、ご協力およびご助言がありました。まずは関係各位に御礼を申し上げます。

 私は本技術開発の実務者として、主に現場適用に関する諸問題の解決に従事しました。連続SSRTの特徴のひとつに、掘削中のトンネル坑内に振動記録装置、ルビジウム刻時装置等の精密機械を常設する点が挙げられます。トンネル坑内は、粉じんや湧水に対する防護対策の必要性、坑内に敷設される高圧電線による電磁波・電源ノイズまたはケーブル類とセントル等の坑内設備との取り合いなど、あらゆる面で計測器にとっては良好な環境とは言えません。このため開発当初は機器の誤作動やケーブル断線などのトラブルが度々発生し、苦労したことが記憶に残っています。このような坑内環境の中で精密機械を安定的に運用するという課題に対して、現場からの助言と(株)地球科学総合研究所のノウハウを活用することによって、ハード面での改善を積み重ねてきた成果が実用化に繋がったと思っています。

 トンネル施工では、これから掘削しようとする地山の情報を事前に収集することが難しく、地山の予期せぬ変化がトラブルに繋がることがあります。本技術の開発にあたっては、発注者や現場技術者など立場の異なる方々からご協力をいただきましたが、前方地山の状態を予測することによってリスクを出来るだけ低減し、合理的に施工したいという思いで一致していたと感じています。これらの多くの技術者の思いが今回の受賞に結実したと考えております。

受賞後の動き

 現在、私はトンネル現場にて施工を担当しています。この現場でもSSRTを採用する予定で現在準備を進めているところです。今後も引き続き現場適用を重ねることによってSSRTの精度向上に貢献したいと考えています。