JICE 一般財団法人国土技術研究センター

受賞者の声

建設分野の新技術への挑戦

第14回国土技術開発賞

地域貢献技術賞 ネコヤナギによる護岸の緑化工法 技術開発者 帆足 建八  受賞コメント

第14回国土技術開発賞 地域貢献技術賞 ネコヤナギによる護岸の緑化工法
技術開発者 松本技術コンサルタント(株) 国土再生研究所 帆足 建八

受賞にあたって

 この度は栄誉ある国土技術開発賞「地域貢献技術賞」を賜り、河川の環境保全と改善をライフワークとしています私にとっては、何よりも嬉しい受賞です。本技術の開発・実用化に際しては多くの学識経験者、行政機関の方々のご指導・ご支援を頂きましたことを心から御礼申し上げます。

 本技術は「魚に優しい川づくり」の委員会において、既設のコンクリート護岸を緑化してほしいとの水産関係者からの強い要請に基づき技術開発に着手しました。

 本工法は既設コンクリート護岸を穿孔し、ネコヤナギの挿木を行い、2〜3年間で法面を緑化し、更に水中に没した枝より、水中根が多数成長し、水際の水中部分の生態系の環境改善が出来るものであります。この様にコンクリートの護岸に直接挿木をして緑化に成功したのは、私どもが特許権取得の際に調査致しましたところ、我が国では初めてであります。本技術は工法が極めて簡単で、緑化速度も早く、既設護岸の強度を低下させることがないのが特徴です。ただし、原則としてはネコヤナギの自生する河川の水系のみ施工することとしています。

 その他の効果としては、景観が著しく改善されることの他に、人々が水辺に近づくところでの滑落防止効果も大いに期待されるところです。


受賞後の動き

 施工実績は九州が中心ですが、全国的な普及に努め、当工法の施工効果等の検証をさらに深く進めてゆきたく考えています。特に、護岸等の施工により単調化した河川において、本工法の特徴を生かし、自然環境の復元に貢献していきたいと思っています。